島根県海士町の特産ブランド岩ガキ「春香(はるか)」を生産販売する海士いわがき生産(海士町)が6月10日までに事業を停止し、自己破産申請の準備に入ったことが分かった。帝国データバンク松江支店によると、負債額は約1億円。コロナ禍で需要が急減した影響で資金繰りが悪化し、事業継続を断念したという。同社の代理人事務所によると、年内までに松江地裁西郷支部に自己破産を申請する予定。
同社は、2002年に生産者らが立ち上げた任意団体が前身。06年には町が「春香」を商標登録するとともに株式会社化。官民一体となってブランド化を進めてきた。
19年9月期までは年間の売上高約1億円で推移していたが、コロナ禍の20年9月期には約2900万円にまで低迷。その後、コロナ禍以前の水準に戻らず、資金繰りが逼迫(ひっぱく)した。個人で養殖した「春香」の販売も同社が引き受けていたことから、町は販売継続に向けた支援をしていく方針だ。(堀田浩一)