(19日、第107回全国高校野球選手権群馬大会3回戦 前橋8―9高崎 延長十回タイブレーク)
前橋は「マエタカ」、高崎は「タカタカ」。群馬ではおなじみだが、両校はそう呼ばれる。ともに県内トップクラスの進学校のライバル同士。前橋は延長十回タイブレークの末に劇的なサヨナラ負けを喫した。「後輩たちに少しでも良い姿を見せたい」。前橋の背番号1の井野竹虎(3年)は涙をこらえて整列した。
「やっぱりタカタカとの対戦は特別」。井野は3回戦で高崎との対戦が決まるとそう話した。両校の対戦は23年ぶりだ。
身長163センチ、体重62キロ。力感がなく、ゆったりしたフォームから球をリリースするときに力が込められ、球速は120キロ台ながら手元でピュッと伸びる。「指先の感覚は重視している。いかに効果的に球に力を入れられるか」。時折スローカーブを織り交ぜながら、制球よく緩急をつけて打者を翻弄(ほんろう)する。
春の県大会では、準々決勝で敗れはしたが、健大高崎を相手に6回3失点と好投した。チームはベスト8に入り、夏の群馬大会はシード校として出場した。
3アウトを奪っても、マウンドから走ってベンチには向かわない。歩きながら、反芻(はんすう)する。「今のイニング、打者への攻め方はどうだっただろうか。もっと効果的な攻め方があったのではないか」。研究を重ねて徐々に成長してきた。
この日も井野が先発のマウンドへ。四回までいずれも先頭打者の安打を浴び、計3失点。「次の回こそしっかり抑える。得点圏にランナーがいったら、もっと厳しいコースに投げなければ」と省みたが、「タカタカの打者の集中力が勝っていた」(浜田豪監督)。五回途中で角田楓雅(ふうが)(2年)にマウンドを渡した。