参院選の選挙期間中、自民党の鶴保庸介参院議員が「運のいいことに能登で地震があった」と発言した。この言葉は被災者の投票行動に影響したのか、何を重視して投票先を選んだのか。投票所となった石川県輪島市役所前で尋ねた。

 20日午後の2時間、投票を終えた22組に声をかけた。応じてくれた15組18人のうち、鶴保氏の発言が投票行動に影響したと語ったのは1人。男性(40)は「あの発言も含めて、『もう自民党はダメだ』という長年の思い」から投票先を変えたという。

 全国的に自民が大敗する中、自民現職の宮本氏が議席を守った石川。ただ、鶴保氏発言以外でも自民への厳しい意見が聞かれた。

 自民候補に40年間投票してきたという男性(60)は「トップ(石破茂首相)の言うことが二転三転する。外交を見て、もう自民党はやめた」と話した。「自民党しっかりせいということで、反対側に投票した」「長い間自民党にお任せしてきたけど、日本がこの有り様。なので違うところに」といった声も聞かれた。

 国民民主の候補を選んだという男性(63)は、新聞やテレビは見ず、ユーチューブやTikTokで情報収集しているという。「SNSでよく見て発言の内容がわかった。第2候補は参政党」と語った。初めて投票にのぞんだ専門学校生の男性(18)は「母からもそれぞれの党の主張を教えてもらいながら、政策で選んだ。一番関心があるのは物価高騰対策」。一緒に来た母親(42)は「みなさん主張は立派だけど、それを実際に実行しているか。政策と行動が合致しているかといったことを見ながら投票先を考えました」と話した。

 一方、自民に投票したという人からは「あの発言には腹が立った。役員(参院予算委院長)を辞めるだけではなく議員を辞めなきゃ。でも自民党にもしっかりした人はいる」「政権交代するといいが、野党もまとまらない」との意見があがった。(上田真由美)