岡山県真庭市が農業支援法人の設立に向けて動いている。「稼ぐ農業」などを念頭に、企業と連携して農業のトータルサポートを目指す。設立目標は2026年春。市農業振興課に準備室を設け、本格的な準備に入った。
市は広大な中山間地域を抱え、経営耕地面積1ヘクタール未満の小規模農家が約7割、年間販売額50万円未満の農家は約6割。農家約2700戸の約8割は60歳以上で、高齢化も進む。
法人が担う事業は多岐にわたる。農業用機械や人手が足りない農業者・集落と意欲のある農業者らをつなぐ農作業の受委託のマッチングや交付金申請の際の事務代行、新規就農者の情報発信にも取り組む。今のところ資本金は4千万〜5千万円を想定。過半数を市、残りを参加企業が出資する。
市と連携する企業は、人材サービス大手パソナグループ、同グループで農業者支援を手がけるパソナ農援隊、京都・丹後地域の特産品の加工、販売をする地域商社「丹後王国ブルワリー」(京都府京丹後市)、TOPPANエッジ(東京)、百貨店「天満屋」(岡山市)、中国銀行(岡山市)の6社(5月時点)。人材を市に出向させるなどし、マネジメント、農業マッチングサービス、PRイベント開催など培ってきたノウハウを持ち寄る。国の地域活性化起業人制度を活用し、連携企業をさらに募る。
準備室設置の会見には連携企業の担当者らが顔をそろえた。太田昇市長は日本の農業の現状もふまえ、「農業には可能性がある。それを支援したい。農業所得の増加を目指したい」と意欲を示した。(藤井匠)