住宅街や裏道で出会う見通しの悪い交差点。カーブミラーがあっても油断は禁物です。ライダーが安全に通過するには、どのような意識と行動が必要なのでしょうか。
見通しの悪い交差点に潜むリスクと、バイクでの安全な通過方法とは
生活道路や郊外の住宅地を走行していると、見通しの悪い交差点に出くわすことがあります。
こうした場所にはカーブミラーが設置されている場合もありますが、それだけで安心してしまうのは危険です。
たとえば、左側からクルマが接近している姿がミラーに映っていたとしても、そのドライバーがこちらの存在に気づいていない可能性もあり得ます。
もしそのまま交差点に進入してしまえば、クルマと出会い頭に衝突するという事態を招くかもしれません。
さらに厄介なのがミラーの死角。ミラーには映らない範囲があるため、そこから自転車や歩行者が突然飛び出してきた場合、衝突を避ける事は困難です。
見通しの悪い交差点では、このようにさまざまな方向からの危険が潜んでおり、ライダーは常に最悪の状況を想定した走行が必要となります。
まず重要なのは交差点の手前で、しっかりと速度を落とすこと。周囲の状況を十分に確認できないうちは、スピードを保ったまま進入するのは極めて危険です。
必要に応じて徐行または一時停止をおこない、左右の安全確認をしっかりとおこなったうえで通過するようにしましょう。
また、走り慣れた道であっても、危険がないとは限りません。
とくに住宅地では、クルマの通行量が少ないために、ドライバーやライダーが安全確認を怠ってしまうこともあります。
そのため、慣れた道だからといって油断せずに、ミラーでの確認に加え自身の目でしっかりと左右をチェックするようにしましょう。

バイクに乗る上で特に注意したいのが、交差点において直進しているバイクと右折車が衝突する「右直事故」です。
警察庁がまとめた2023年の交通事故統計によれば、バイクが関係する死亡事故のうち、相手がクルマだった割合は96.8%にのぼります。
そのなかでも、右折対直進の構図による事故の増加が目立っており、直進していたバイクが被害を受けるケースが約9割に達しているとされます。
ドライバー側からすると、バイクの小さなシルエットは見えにくく、速度感もつかみにくいため、確実に把握するのが難しい存在とされています。
見通しの悪い交差点では、なおさらバイクの接近に気づくのが遅れがちになり、結果として接触するリスクが高まります。
そのため、バイクが直進する場合でも、相手が気付いていない可能性を常に意識し、万が一に備えて減速や回避行動を取れる準備をしておくことが求められます。
たとえ交通の優先権が自分にあったとしても、自分の命を守る行動を最優先にする判断がライダーには必要です。