◇27日 全国高校野球選手権石川大会決勝 小松大谷8−7金沢(石川県立野球場)=延長10回タイブレーク

 粘り強い野球で初めての2年連続優勝をつかみ取った。小松大谷は、終盤に3点差を追いつき逆転勝ち。選手の歓喜を見届けた西野貴裕監督は「もつれれば勝機があるからと我慢してタイブレークにもっていけた。キャプテンを中心に我慢できたのが勝因のひとつ」とたたえた。序盤に6失点したが、中盤は追加点を許さなかった。

 11年前の先輩たちの悔しい負けが、チームの財産となっている。2014年夏の石川大会決勝の星稜戦。8点リードしていた9回に9点を取られて逆転負け。このときの新聞記事をパネルにしたものを練習中にベンチに掲げている。横には、その翌年の星稜戦で9回に3点差を逆転勝ちしたパネル。毎日、目にすることで、勝っていても負けていても「最後まで何が起こるか分からない」という教訓がチームに浸透している。

 1死満塁を無失点でしのいだ直後の8回、主将の田西称主将(3年)が先頭で中前打。「ピッチャーが粘ってくれていたので、自分が流れをつくろうと思った」。まず1点を返して、9回には1点差にしてなお2死二塁で、胡摩結月内野手(3年)がセンターの頭上を越す同点三塁打。昨夏もレギュラーながら今年は背番号20の胡摩は「センターに捕られたと思いました。何が起こるかわからないから絶対にあきらめない」と起死回生打を振り返った。

 昨夏の甲子園はチーム初勝利を挙げて3回戦まで進んだ。石川県勢で2年連続で夏の甲子園キップをつかんだのは星稜、金沢、遊学館についで4校目。田西主将は「目標は甲子園優勝。チーム一丸となって粘り強く戦いたい」と声を響かせた。