退職時に受け取った退職金から住民税がすでに差し引かれていたにもかかわらず、翌年住民税の納税通知書が届いたら「何かの間違いでは?」と不安になるでしょう。   実は、退職金にかかる住民税と、それ以外の所得にかかる住民税は扱いが異なるため、こうしたケースは珍しくありません。   そこで本記事では、退職金にかかる住民税についてと、退職後の税金について解説します。定年退職後にお金の管理で気を付けたいポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

退職金にかかる住民税と退職後の課税について

退職金にかかる住民税は、原則として、退職金を支払う会社(事業主)が税額を計算し、退職金から差し引かれています。差し引いた住民税は、退職者が退職金を受け取る年の1月1日時点で住んでいる市区町村に納める仕組みです。これを「現年分離課税」といいます。
 
なお、「現年分離課税」の対象になる退職手当等にかかる退職所得については、「損益通算」や「繰越控除」の対象にはなりません。また、控除対象配偶者等などの判定の際にも、この退職所得は含めないことになっています。
 

基本的に退職後の翌年も住民税の支払いはある

退職金以外の所得に対する住民税は、一般的に退職した翌年に納めます。退職した翌年に届く「納税通知書」は、退職した年の退職日までに受け取った給与などに対して課される住民税のものです。
 

年金にも税金がかかるケースがある

定年退職後に年金を受給する場合も、税金がかかるケースがあります。
 
公的年金などによって得られる収入は、そのまま全額が所得になるわけではありません。年金の収入から「公的年金等控除額」という一定の金額を差し引いたうえで、実際の所得金額が計算されます。
 
このような所得は「雑所得」として扱われ、国税庁によれば、おもに次のような年金が該当します。

●国民年金や厚生年金、公務員等の共済年金など、公的な制度によって支給される年金
●以前の勤務先(会社など)から支払われる年金
●確定給付企業年金法の規定に基づいて受け取る年金
●外国の法令に基づく保険または共済に関する制度で、日本の年金制度と同じようなものに基づいて支給される年金

ただし、生命保険契約や生命共済契約に基づく年金、互助年金などについては、これらの「公的年金等」には含まれませんので注意しましょう。
 

住民税の納付が難しいときは自治体に相談

定年退職後に再就職しないなどの理由で、収入が大きく減った場合には、住民税の負担を軽くする「分割納付」や「猶予」などの制度を利用できるかもしれません。
 
ただし、この制度の内容は自治体ごとに異なり、配偶者に一定の収入があると対象外になる場合もあります。
 
住民税の支払いが難しいと感じたら、まずはお住まいの市区町村の窓口に相談してみましょう。適用できる制度があるかどうか、確認してもらえます。
 

定年退職後の生活で気を付けたいこと

定年退職後は、お金の管理を見直す必要が出てくるかもしれません。特に意識したいポイントを以下にまとめました。

●現在の収入と支出のバランスをチェックする
●必要な支出とそうでない出費を見直す
●節約を前向きに楽しむアイデアを取り入れる
●趣味やリフレッシュにお金を使って心の満足を得る

月々の固定費や食費、交際費などの変動する費用を再度チェックし、不要な出費は削っていきましょう。
 
また、節約も大事ではありますが、趣味やリフレッシュにお金を使い、退職後の時間を充実させることも大切です。
 
退職後の生活では、人生の後半を見据えたお金の使い方がカギとなります。年金や預貯金をムダなく活かし、長く安心して暮らすためには、計画的な資産管理が欠かせないでしょう。
 
「年間で使う金額の目安を決める」「いざというときの資金を用意する」「リスクをおさえた資産運用を検討する」など、日頃からお金と向き合いながら生活することが理想的です。
 

退職金にかかる住民税は天引きされるが、それ以外の所得に対する住民税は原則として翌年納めることになっている

退職金から住民税が差し引かれていても、翌年に住民税の納税通知書が届くことがあります。これは、退職金にかかる住民税と、それ以外の所得(給与など)にかかる住民税の課税方法が異なるためで、決して間違いではありません。
 
退職金にかかる住民税は基本的に「現年分離課税」により天引きされますが、それ以外の所得に対する住民税は原則として翌年に納付することになります。収入が大きく減った場合は、住民税の減免制度などが利用できる場合もあるので、早めに自治体へ相談することが大切です。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー