実家を相続したはいいものの、使い道もなく放置したまま。気づけば、固定資産税や維持管理費で年間15万円以上の出費が続いているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。放置し続けることで損失は増え、資産価値は目減りしていきます。 この記事では、実家を収益化・有効活用するための具体的な方法と、今すぐ検討すべき選択肢を分かりやすく解説します。
実家を放置しているだけで赤字が積み重なる仕組み
実家に誰も住んでいなくても、所有している限り費用が発生する可能性があります。もっとも大きいのが固定資産税で、10万円〜15万円前後が課税されることがあります。さらに、家の劣化を防ぐための簡易な点検や草刈り、屋根の補修、郵便物の回収といった管理作業を業者に頼めば、年間数万円のコストが追加でかかります。
家を一切管理せず放置すれば、建物の劣化が加速し、資産価値は下がる一方です。災害時の倒壊リスクや近隣への迷惑にもつながりかねません。つまり放置は、年々見えない赤字を積み重ねている状態だといえるのです。
実家を有効活用するために検討できる主な方法
空き家状態の実家も、工夫次第で資産として生かせます。以下に、代表的な活用方法をまとめます。
・リフォームして賃貸住宅として貸し出す
・民泊施設として運用する
・シェアハウスにリノベーションする
・リモートワークやサテライトオフィス向けに貸す
・庭や敷地を貸農園として開放する
・倉庫や物置として短期貸しする
・ロケ地や撮影スタジオとして提供する
これらの選択肢は、家を収益化する可能性を持つと同時に、維持コストの一部を回収する手段になります。実家の立地や構造を見ながら、地域のニーズに合った使い方を探ることが第一歩です。
活用が難しい場合は売却や解体も視野に入れる
どうしても活用が難しい場合は、実家を手放す決断も選択肢に含まれます。売却、寄付、解体のいずれかを検討する際には、それぞれに長所と短所がある点を考慮しましょう。
売却は現金化という最大のメリットがあるものの、過疎地や需要が低いエリアでは買い手がつかないことがあります。寄付は維持費から解放される手段ですが、受け取り先の条件に合わなければ成立しません。
解体については、建物を撤去することで活用の自由度は高まりますが、固定資産税の軽減措置が外れるリスクや解体費用が重くのしかかる点に注意が必要です。
以下の表は、三つの手放し方の特徴を比較したものです。
表
方法 | 主な利点 | 注意点 |
---|---|---|
売却 | 資金回収が可能 | 売却先が見つからない場合あり |
寄付 | 維持負担がゼロになる | 条件に合う受取先が限られる |
解体 | 活用の幅が広がる | 解体費と税額増に注意が必要 |
実家を放置することで生じるリスクは多岐にわたる
空き家状態の実家を何年も放置していると、見えないトラブルが蓄積していきます。例えば、雑草や木の枝が隣家の敷地にはみ出すなど、近隣住民から苦情が出る可能性があります。
実家の放置は、単なる経済的損失にとどまらず、地域との関係悪化や法的トラブルにもつながりかねません。こうした状況を未然に防ぐには、早期の対応と判断が重要になります。
専門家への相談で見える選択肢を整理する
実家の管理や活用については、自分一人で全て判断しようとすると負担が大きく、誤った選択をするリスクもあります。そんなときは、各分野の専門家に相談することで、状況が明確になり、具体的な行動に移しやすくなります。
多くの自治体では空き家相談窓口が設けられており、地域ごとの特性や事例も知ることができます。専門家の意見をもとに、自分にとって無理のない選択肢を冷静に見極めましょう。
まとめ
実家を放置することは、見えない赤字を年々積み重ねるだけでなく、資産価値の低下やトラブルの引き金にもなりかねません。年間15万円前後の固定費に悩まされる前に、一度立ち止まって選択肢を整理することが大切です。
活用するか、手放すか、迷ったときこそ早期判断が後悔を減らす鍵です。必要ならば専門家の助けを借りて、実家を「負担」から「生かせる資産」に変える第一歩を踏み出しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー