大相撲の新横綱大の里(津幡町出身、二所ノ関部屋)は名古屋場所11日目を終えて8勝3敗と優勝争いに踏みとどまっている。津幡町少年相撲教室でコーチとして大の里を指導し、現在は監督を務める津幡町職員の長井恒輝さん(32)は「教室に通う子どもたちの希望であり、町の人の心を一つにしてくれている」と目を細める。
十一日目の霧島との一番は「相手を懐に入れてしまい、負けの形だったが、土俵際でよく残した。右で振るのでなく、左を押っつけて逆に返したことが逆転勝ちにつながった。勝利への執念が勝った」と振り返った。立ち合い後に引いてしまい、敗れた八日目の伯桜鵬戦は「アマチュア時代から対戦している若手の成長株で、立ち合いで選択を迷ったのではないか」と推し量った。
小学生時代の大の里は「体は大きかったが、そのほかは普通の小学生。気が強いタイプではなく本番でもよく緊張していた」と振り返る。「イケイケではなく、一番一番慎重に考えながらやっている。思った展開にならなかった取り組み後に見せる『やっちゃった』という表情は昔と変わらない」と長井さんは笑みを浮かべる。
大の里が相撲教室を卒業した後、子どもの数が4人まで減少したものの、大の里の快進撃を背景に、今では17人まで増加。「大の里のおかげで相撲を身近に感じてくれる人が増えた。本当にありがたい」と長井さん。津幡町出身で十両の欧勝海とともに大の里は子どもたちの希望になっており、「勝った後は相撲に取り組む姿勢が変わる」と喜ぶ。
最上位の地位になったが、まだ25歳。「大の里が勝てば町が元気になる。けがをせず、長く活躍してほしい」。長井さんは期待を込める。