また、若くして戦死したやなせの弟・千尋への思いを綴った『おとうとものがたり』の展示もあり、作中で描かれた嵩と千尋(中沢元紀)の関係性をより深く理解することができる。

雑誌『詩とメルヘン』の編集長をつとめ、詩人としての顔も持つやなせ。展示されている詩のひとつに「にんげんなんてさびしいね」というフレーズがあり、またもや週タイトル「人間なんてさみしいね」に引用されていることがうかがえる。同作の脚本を手がける中園ミホはやなせの詩のファンでもあるといい、展示をみていると作中の端々にその影響があることが感じられた。

ほかにも、嵩とのぶが編集部として携わる雑誌『月刊くじら』のモデルとなる『月刊高知』の表紙や嵩がのぶをモデルとして描いた漫画『ミス高知』の原画なども展示されており、作中に登場するアイテムやフレーズの元ネタがいくつか確認できた。

「やなせたかし展 人生はよろこばせごっこ」は、7月11日から8月24日まで開催。会場は京都駅ビル内ジェイアール京都伊勢丹7階に隣接した「美術館「えき」KYOTO」(会期中無休)。時間は10時〜19時30分(入館締切:閉館30分前)、入館料は一般1000円ほか。

(C)やなせたかし (公財)やなせたかし記念アンパンマンミュージアム振興財団蔵

取材・文/つちだ四郎