20日投開票が行われた参議院選挙の石川県選挙区では、自民党の宮本周司氏が当選を果たしました。選挙戦序盤は優位に戦いを進めていたものの、結果としては午後11時ごろに当選確実の報が入る形になりました。

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宮本氏にとっては「苦戦」「辛勝」となった今回の選挙戦ですが、被災地・能登からの評価はどのようなものだったのでしょうか。

被災地をはじめ石川では耳を疑う“鶴保氏発言”

参院選の公示から5日後の8日、自民党の鶴保庸介参議院議員が、和歌山市で開かれた地元での候補を応援するための集会での演説で「運のいいことに能登で地震があった」と発言しました。

鶴保庸介参議院議員(8日)

その後、鶴保議員は発言を撤回し謝罪。さらに務めていた参議院の予算委員長も辞任しました。しかし、被災地の能登では鶴保氏の発言への怒りが沸き起こりました。

被災地・能登の住民「自分のことしか考えていないと思う。絶対にしてはいけないことで、許せないことだし、人間としても非常識だと思う」「リップサービスで支援者の前で言ったと思うが、現状を知らないで言ったと思うので、かわいそうな人だなと。怒りというか、いろいろな議員の発言が怒りを通り越してあきれる。慮ることができないというか」

石川県の馳浩知事も、10日の記者会見で前日に鶴保氏から謝罪の電話があったことを明かしたうえで、強く抗議をしたと述べました。

石川県・馳浩知事「論外であります。使っていい表現ではないと私も断言したい。改めて被災地に来て、いかに被災者の取り残され感があるのか、悲壮感があるのか、このことを実感していただきたい」」

序盤の「楽勝ムード」が吹き飛ぶ展開に

宮本氏は比例選出も含め当選を重ね、12年の間参議院議員を務めています。実績などをアピールしつつ、石川県内の自民党の盤石な組織力を武器に、全国的に与党に逆風が吹く中でも選挙戦を優位に進めてきました。

5日と6日にJNNが行った情勢調査では「優勢」とされた宮本氏でしたが、12日と13日での中盤情勢では、宮本氏は「一歩リード」との表現で国民民主の浜辺健太氏が「激しく追う」との展開に変化しました。

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8日の鶴保議員の発言を受けて宮本氏と浜辺氏の差が縮まるという情勢になりました。

選挙戦ラストサンデーの13日、宮本氏に発言について尋ねると、同僚となる鶴保議員への批判のトーンは抑えつつ、能登を慮る言葉に終始した返答でした。

自民・宮本周司氏「私のことはどうでもいい。あの発言で被災された方々が心を痛めてないか、それがなによりも気がかりなので。能登の方の気持ちを考えて、ご自身のどうすべきなのかを判断いただければと思います。」

“鶴保氏発言”以後 選挙戦での戦い方は変わった?

投開票日前日の19日の夜、最後の街頭演説を金沢市内で行った宮本氏ですが、鶴保議員の発言は無視できないものになっていたようです。

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自民・宮本周司氏「今回の選挙戦の途中で、能登の方々を傷つけるような心無い発言をした議員がおりました。能登のみなさんがどれだけ心を痛めたのか、どれだけ憤ったのか、この気持ちを考えると私自身もいたたまれなくなり、強く抗議もいたしました。」

当選を決めた20日夜、インタビューで“鶴保氏発言”の選挙戦への影響はあったのか問われると一言答えました。

自民・宮本周司氏「それは感じます」

奥能登の選挙結果には現れなかった 発言の影響

「鶴保氏発言」には怒りの反応を示した能登の有権者。しかし、実際の投票行動を見ると、宮本氏への支持が極端に薄れた結果にはなりませんでした。

能登半島地震の被災地のうち、奥能登と呼ばれる輪島市、珠洲市、能登町、穴水町では、いずれも宮本氏がほかの候補に相当な差をつけての得票になりました。

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政治資金パーティーをめぐる裏金問題では収支報告書への不記載があり、2024年に自民党から処分が下されてもいた宮本氏が臨んだ今回の参議院選挙。被災地を含め、石川県の有権者は宮本氏を選択しました。