【科学が証明!ストレス解消法】#224

 人は誰しも「幸せになりたい」と思います。しかし、思いすぎるとかえって逆効果であることを示す興味深い研究が存在します。

 デンバー大学のモースらは、個人の幸せを重視する度合いが、どれだけ幸福度やウェルビーイング(心身ともに満たされた状態)に関係しているかを調査(2011年)しています。

 この研究では、デンバー都市圏から募集した成人女性59人を対象とし、幸福を重視する度合い、過去18カ月のライフストレス、感情バランス、主観的ウェルビーイング、心理的ウェルビーイング、抑うつ症状を測定しました。

 その結果、低ストレス条件下においては、幸福を重視するほど幸福度やウェルビーイングが低く、抑うつ症状が高い傾向にあることが分かったそうです。

 また、モースらは、幸せを重視することが幸福感にどのような因果関係をもたらすかについても検証しており、こちらは平均年齢21歳の女性70人を対象に行っています。

 まず、被験者を2つのグループに分け、片方には幸福の重要性を強調する“偽の新聞記事”を読ませることで、意図的に「幸福を重視する」ように仕向けました。そして、もう片方のグループには、フラットな判断がしやすくなるような記事を読ませることで、幸福を過度に意識しないようにしました。

 その後、フィギュアスケーターが金メダルを獲得する──幸福な感情を喚起させるような2分間の映像と、悲しいカップルの話──悲しい感情を喚起させる2分間の映像をそれぞれ視聴させたところ、幸福を重視するよう誘導された被験者は、幸福な感情が誘導される状況において、幸福感を感じにくいことが明らかになったといいます。つまり、幸せを強く意識すると、かえって幸せを感じづらくなるということが示唆されたのです。