<高校野球佐賀大会:佐賀北3−0北陵>◇21日◇決勝◇さがみどりの森球場
佐賀北が北陵に3−0で競り勝ち、6年ぶり6度目の頂点に立った。先発した稲富理人投手(3年)が9回155球の完封勝ち。計7四死球を与えるも、要所を締めて2安打に封じた。本村祥次監督(31)は同校OBで、就任6年目にして夏初制覇。「がばい旋風」で07年夏に全国制覇を果たした公立伝統校が、聖地に凱旋(がいせん)する。
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ゲームセットの瞬間、佐賀北の本村監督が右こぶしを突き上げた。夏の頂点は19年以来6年ぶり6度目。マウンド上のナインの歓喜の輪をベンチから見届け、目尻を下げた。「本当に苦しい試合ばかりで、選手たちが奮闘してくれた。私の力じゃなくて、1人1人ができることを考えながら勝つために一生懸命プレーをしてくれた」。試合後の優勝インタビューでは言葉を詰まらせ、思わずうれし涙がこみ上げた。
何度も、悪夢を見た。20年4月に監督に就任。県内で秋1度、春2度の優勝も、最後に勝てない。23年、24年夏は2年連続で第1シードとして臨んだ。だが、前評判通りにいかない。一昨年は初戦敗退。07年夏に「がばい旋風」で全国制覇した公立伝統校なだけに、期待も常に背負う。「監督が未熟で…。選手たちに第1シードのプレッシャーを感じながらプレーをさせてしまった」と当時を振り返る。自身も同校OB。3年時に主将を務め、12年夏に甲子園に出場した。「北高」への愛着もあるだけに、夏に勝てないもどかしさは人一倍だった。