果たして自分はチームのためになにができるのか——。

 横浜DeNAベイスターズに移籍をしてきて3年目の京田陽太は、一言一句、噛みしめるように語る。

「スタメンやゲーム途中からなどいろいろ出番はあると思いますが、とにかく準備を怠らないこと。ここからさらに暑くなってきますけど、ここでもう一回基本というか、今までやってきたことを疎かにせず、当たり前のことを当たり前にできれば、チームに貢献できると思っています」

 決して饒舌なタイプではないが、だからこそ紡ぐ言葉の一つひとつに重みが感じられる。

どんな出番でも貢献を

 プロ9年目の31歳。中堅からベテランに差し掛かる年代、もちろんレギュラーとしてゲームに出ることが一番の目標であるが、京田はゲーム途中からの出場も少なくない。

 今季は前半戦で46試合に出場し、スタメンは24試合(7月25日現在、以下同)。打率こそ.237ではあるが、苦しいDeNA打線のなかにあって、7月は7試合(17打数)に出場し、打率.412、OPS1.118と気を吐いている。

 最近では7月20日の古巣である中日戦(バンテリンドーム)、2点を追う9回表に見せ場がおとずれた。1アウト、二、三塁の場面で代打として送られた京田は、清水達也の投じた4球目のストレートを逆方向に合わせ、レフトの後逸を誘う絶妙なヒッティングで、値千金の同点タイムリーを放っている。

「あのときは三塁ランナーが石上(泰輝)だったので、とにかくバットに当てればなにかが起こると思っていましたし、気持ち少しだけショートの方向へ意識した結果、いいところに飛んでくれたのでよかったですね。ただ10回表に同様のチャンス(1アウト、満塁)だったのに三振をしてしまって、なかなか上手くいかないなって……」

 そう言うと京田は苦笑し、その後、勝ち越しタイムリーを放った蝦名達夫に対し「本当にすごい嬉しかったですね」と言って表情を緩めた。

 ここまで代打では12打数と決して多くはないが、打率.333、得点圏打率.500と勝負強さを見せている。この数字について問うと、京田は少しだけかぶりを振って言うのだ。

「何だろう。まだ(代打の)経験が浅い分、怖さを知らないというか、とにかく振っていこうって意識ばかりなんです。代打を送られた選手の思いもありますし、そこで見逃し三振してしまったら、なにをしに行ったんだってなってしまう。無様な姿をさらすぐらいなら、とにかく振る。本当、この役割を長年やっていたり、一打席で結果を出す人ってすごいなって改めて思っていますね」