PRESIDENT Online 掲載

頭のいい子は、何が違うのか。東大生作家の西岡壱誠さんは「今年の“東京大学理科三類”の合格者に話を聞くと、回答者の半数以上がChatGPTを使っていた。ただし、答えを聞いて終わるだけではなかった。成績を伸ばすためには、使い方に工夫があった」という。西岡さんが監修した、東大カルペ・ディエムの『東大理III 合格の秘訣 Vol.40 2025』(笠間書院)より、一部を再編集して紹介する――。

■「東大理三合格者たち」はAIで勉強していた

ChatGPTなどの生成AIを使うと学力が下がるのではないか――。親御さんや学校現場からそんな不安の声を耳にすることが増えてきました。実際、国際機関の情報処理国際連合が発行する学術雑誌に掲載された論文では、課題にAIを使うとモチベーションや成績に影響が出る可能性があることが報告されています。

こうした話を聞くと、「子どもにAIを使わせて大丈夫なのだろうか?」と心配になるのも無理はありません。実際に、親御さんや学校の先生方からはこんな声が聞かれます。

「宿題をAIにやらせてサボると、知識が身につかない」
「間違った情報をそのまま信じてしまったら困る……」
「AIに頼りすぎて、自分の頭で考える力が育たないのでは?」

親御さんや先生方の懸念ももっともです。しかし、AIを使うと学力が下がると、そう簡単に言い切れるものなのでしょうか?

日本の受験の最高峰である、東京大学理科三類。この春、東大理三に合格した受験生たちから話を聞いてみると、むしろ彼らの多くが生成AIという新しいツールを“成績を上げるための補助道具”として賢く使っていたことがわかってきました。

■「受験勉強の常識」が変わるかもしれない

私たちカルペ・ディエムは、過去40年にわたり東大理三合格者の声を集め続けた書籍『東大理III』の制作を今年度から担当しています。

2025年版の制作にあたり、今年も4月に東大に入学した理三合格者全体のおよそ3分の1にあたる36人にアンケートおよびインタビューにて調査を実施しました。アンケートの中に「勉強のアプリケーションや生成AIなど、何かオンラインツールを使っていましたか? 使っていた場合はそのツール名と使い方を教えてください」という問いを設けたところ、回答者の半数に当たる18人が、ChatGPTなどの生成AIを勉強に活用していたと回答しました。

正直、これは予想以上の割合でした。東大理三という最高峰に合格した受験生たちが、生成AIを“当たり前”のように取り入れていたという事実は、今後の受験勉強の常識が変わっていく可能性をも感じさせます。

彼らに生成AIの使い方を詳しく聞いてみると、どうやら単に「わからない問題の答えを教えてもらう」という受け身の使い方ではなく、「自身のアウトプットに対する評価をもらう」という非常に能動的な使い方をしていたようなのです。

具体的に、どのような使い方をする事が多かったのか見ていきましょう。