Lucy Craymer

[ウェリントン 21日 ロイター] - ニュージーランド統計局が21日発表した第2・四半期の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同期比2.7%と、第1・四半期の2.5%から加速し、1年ぶりの高水準となったものの、ロイターがまとめたエコノミストの予想(2.8%)を下回った。市場では経済全般の弱さを背景に来月の利下げ観測が高まった。

統計局はインフレ率の加速について、地方税と住宅賃貸価格の上昇が要因と指摘した。

CPIは前期比では0.5%上昇。こちらもエコノミスト予想の0.6%上昇を下回った。第1・四半期は0.9%上昇だった。

データ発表後、ニュージーランド(NZ)ドルは対米ドルで0.3%下落し、0.5941米ドルを付けた。市場が織り込む8月の25ベーシスポイント(bp)利下げ確率はデータ発表前の61%から75%に上昇した。

NZ準備銀行(中央銀行)は5月、第2・四半期のCPI上昇率が2.6%になると予想していた。今月の会合では目先の物価上昇リスクなどを踏まえ、政策金利を据え置いた。据え置きは昨年8月の利下げサイクル開始以来初めてだった。

ASB銀行のシニアエコノミスト、マーク・スミス氏は、世界経済の見通しが弱まり、余剰生産能力の規模が大きいことから中期的なインフレ見通しは低下する見込みであり、中銀は短期的なインフレ上昇を許容、もしくは無視するというのがASBの基本的な判断だとし、「中銀は先に金融政策のブレーキを踏んだが、アクセルを踏み込んで積極的に政策支援を行うと予想される」と述べた。