36人が犠牲となった令和元年の京都アニメーション放火殺人事件は18日で発生から6年。事件の背景には青葉真司死刑囚(47)が別事件で服役後、社会から孤立したことが影響した可能性が指摘された。昨年4月には孤独・孤立対策推進法が施行され、産経新聞は全国の政令市などを対象に対策の現状を調査。再犯防止の視点で独自施策を進めるのは、京都や神戸など4市にとどまる実態が明らかになった。
6月に20政令市と東京都新宿区を対象にアンケートを実施。孤独・孤立対策を国や地方自治体の責務とする同法を踏まえた施策や、再犯防止策などに関して尋ねた。
刑法犯で検挙された人の「再犯者率」が50%近くで高止まりする中、出所者の就労支援拡充など再犯防止の推進計画の策定が自治体ごとに進んでおり、政令市はすべてで整備されている。
ただ、孤独・孤立を背景とする再犯や犯罪抑止策に独自で取り組んでいると回答したのは名古屋、京都、神戸、堺の4市にとどまった。専任職員の配置のほか、関係団体との協力の枠組み構築などが挙げられた。
一方で、孤独・孤立対策は貧困や高齢化など関連する課題が幅広く、「難しさを感じている」といった意見が寄せられた。人材確保や財政の面もネックとなり得る。
「幅が広く難しい」
単身世帯の増加や働き方の多様化、新型コロナウイルス禍などを背景に、新たな社会課題としてクローズアップされている孤独・孤立対策だが、アンケート結果から浮かぶのは、再犯や犯罪抑止に焦点をあてた具体的な取り組みが、自治体単位では十分に進んでいない実態だ。