攻撃中の接点にも難儀した。22―24と点差を詰めて迎えた後半28分頃、向こうのフランカーであるジョシュ・マクラウドにスティールされた。

 それ以外の局面でも球出しを遅らされ、その隙に防御網を敷かれた。高速展開を目指すジャパンにとって、それは命とりだった。

 竹内柊平。前半37分に登場するや好スクラム、機を見てのフィニッシュで光った右プロップは、ウェールズ代表のスティール成功は組織的な動きだったと語る。

「僕らのシステムの『一番、重要な部分』に邪魔な人を入れるなど、意図してスティールを狙ってきていた。ラックに寄る選手がそうする前に(巧妙に)身体を当ててきて…。(日本代表の走者が孤立しやすい局面を)わざと作ってきていました。ただ、そこで『サポートに行けない』と言い訳せずにボールを保持できるようにならないといけないです」

 屋根付きの蒸し暑い会場にあって、たくさんのエラーを誘いながら自軍でも好機でミスを重ねてしまっていた。こちらも痛かった。 史上初となるハイパフォーマンスユニオン勢からの連勝を逃したうえ、最近やや苦しんでいた赤いジャージーの連敗を18で止めてしまった。

 約9年ぶりに日本代表のヘッドコーチに復帰して2シーズン目のエディー・ジョーンズは、「(初戦勝利を受け)感情的に2戦目に臨めなかった。準備の見直しは必要」。かつて複数国に携わってワールドカップ決勝へ進んだ名将は、最近、技術や戦術ではなく精神面で指摘することが増えたような。