半世紀以上前から、夏のオフシーズンには欧州各国のクラブが日本を含むアジアに遠征して親善試合を行なうことは恒例行事となっている。

 一時はアメリカに欧州中のビッグクラブが集結する時期もあったが、それでもアジアは彼らの渡航先であり続け、今夏は世界最高峰リーグといわれるプレミアリーグの人気チームの幾つかが、以下のようにアジアツアーを実施している(プレミアリーグ公式サイトより)。
◇アーセナル
7月23日:ミラン戦(シンガポール)
7月27日:ニューカッスル戦(シンガポール)
7月31日:トッテナム戦(香港)

◇リバプール
7月26日:ミラン戦(香港)
7月30日:横浜F・マリノス戦(日本)

◇ニューカッスル
7月27日:アーセナル戦 (シンガポール)
7月30日:Kリーグ選抜(韓国)
8月3日:トッテナム戦 (韓国)

◇トッテナム
7月31日:アーセナル戦(香港)
8月3日:ニューカッスル戦(韓国)

 欧州のクラブがアジア遠征を行なうのは、言うまでもなく新たな市場開拓によって利益を伸ばすためである。1990年代中盤にはイタリアのラツィオが北海道でキャンプを行ない、強化と商業的活動を同時に行なったこともあったが、基本的に夏の遠征は彼らにとっては過酷な弾丸ツアーであると言えよう。

 そうまでして実施される遠征について、英国の日刊紙『The Guardian』は、年々高まるアジアでのプレミアリーグ人気により、この国々の人々が直に世界最高峰リーグのプレーを見たいという欲求も膨らみ続けている中、これに呼応した各クラブの動きであると紹介しているが、現在ではその試合内容にもファンは高いレベルを求めるようになっていると指摘。今年5月にマレーシアを訪れたマンチェスター・ユナイテッドがASEAN選抜に0-1で敗れた際には、地元ファンからは大きな不満が示された。