【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】野球の殿堂入りセレモニー取材でニューヨーク州クーパーズタウンを訪れた。何のひねりもない感想で申し訳ないが、本当に「遠い」。
ロサンゼルスからニューヨークへ飛行した後、1人で4〜5時間の長距離運転には自信がなく、マンハッタンからアムトラック(鉄道)でアルバニーという街まで移動し、車を借りる計画までは良かった。しかし、アムトラックの乗り継ぎ遅延で2時間のロス。リーズナブルなホテルはクーパーズタウンから約1時間先のユティカにしかなく、2時間のドライブとなって結局8時間以上をかけて午後10時過ぎにチェックイン…。翌朝は5時起床だったので、こんなことなら最初からレンタカーにするべきだったと何度も後悔した。
「これも全て、野球の殿堂がクーパーズタウンなんてへんぴな場所にあるからだ!」。最初はそんな悪態をついたものの、これだけ時間がかかると「なんでクーパーズタウンなんだろう?」と思いが変わったりもした。調べてみると、びっくりするほどひねりがあった。
その昔、ウィリアム・クーパーという人物が、未開拓だったニューヨークの辺境に土地を購入。低金利で分譲することで人々を集め、教会や学校を建て、湖を利用した貿易や農業などの環境を整備し、小さいながらも美しいコミュニティーを作り上げた。これが「クーパーさんの町(クーパーズタウン)」の始まりだ。
その町が話題を呼んだのが1907年。大手スポーツ用品ブランドの創立者で元野球選手だったA・G・スパルディングが、野球の起源を突き止めるために委員会を設立し、全米中から情報を募集していたところ、アブナー・グレーブスという鉱山技師が「アブナー・ダブルデイ(南北戦争で功績を残した軍人)が1839年にクーパーズタウンで野球を発明した」と証言した。