今夏の猛暑と少雨の影響が、鶴岡市特産のだだちゃ豆に及んでいる。2023年の猛暑、24年の記録的大雨により種子不足や発芽不良に見舞われ、今年は22年以前に採れた種子を使う農家も多かっただけに「3年連続でいい種子が採れなければ、来年は廃業に追い込まれるかもしれない」と頭を抱える。市は24日、農業関係者と連絡会議を開き、生育状況や技術対策について情報交換した。

 市農政課によると、市内の枝豆の作付面積は22年に543ヘクタールだったが、今年は過去5年間で初めて500ヘクタールを割る見込みで、6月末現在の計画で489ヘクタールにとどまる。種子の品質低下に加え、生産者の高齢化、水稲に転作する農業者の増加も背景にあるという。

 同市白山でだだちゃ豆を栽培する農家の男性(72)は、主力品種「白山(しらやま)」を例年の面積の半分ほどしか作付けできず、残りは在来品種でない枝豆で補った。「ない袖は振れない」と嘆き、歩留まりは3分の1ほどと見込む。気温が下がる夕方以降に水をまく必要があるため、午後10時まで作業する日もあるという。

 同市寺田の「だだちゃ喜左衛門」では今年、5.5ヘクタールほどの畑に19〜22年の種子を中心に植え、在庫をほぼ使い切った。小池貴士代表(38)によると、わせ品種が比較的順調に育つ一方、おくてを中心に一部は暑さのため茎の根元が黄色に変色しており、影響を危惧している。例年は行わない養分の葉面散布や、かん水などの対策を講じている。

 連絡会議は市役所で開かれ、県やJA、土地改良区などから約20人が出席した。7月の平均気温(20日現在)は27度で、高温障害があった23年の24.7度を大きく超え、降水量は5ミリで平年の158.6ミリのわずか30分の1にとどまっている現状が示された。

 県、JAなどからは、種子を数年間保存できる冷蔵・冷凍技術の普及や、土壌全体に水を浸透させる畝間(うねま)かん水の講習会に力を入れていることなどの報告があり、暑い時期を避けて栽培する実証実験の取り組みも紹介された。JA鶴岡の今野大介生産振興課長は「高温障害で収量が落ちた23年の苦い経験を教訓に、県や生産者と連携し早め早めの対策を打っている。順調な収穫に期待したい」と話している。