南海トラフ地震の発生可能性が高まっている際に出される「南海トラフ地震臨時情報」について、住民や企業などが取るべき対応を示したガイドライン(指針)の改定に向けた内閣府の有識者検討会の初会合が24日、開かれた。内閣府は、鉄道事業者に運行規制を原則求めないことを盛り込む考えを示した。来月にも改定する方針。
ガイドラインは臨時情報の運用が始まった2019年に策定された。
ただ、マグニチュード(M)7以上の地震などが起きると出される「臨時情報(巨大地震注意)」発表時の対応はほとんど明記されておらず、昨年8月8日に宮崎県沖の日向灘の地震で初めて出された際には各地で対応が分かれ、混乱を招いた。鉄道事業者の中には運休や徐行運転などの対応を取ったところもあった。
これを踏まえ、内閣府は今回の改定で「巨大地震注意」の対応を拡充し、鉄道については事業者に運行規制を求めないことを明記する方針。昨年8月の発表時に避難場所やルートを周知した上で実施されたイベントなどの事例集も盛り込む。
鉄道事業者の中にも対応を見直す動きがある。
JR東海は昨年8月の臨時情報発表時、東海道新幹線の三島―三河安城間の最高速度を時速285キロから同230キロに抑えて運転し、在来線も一部の特急を運休した。
同社は臨時情報発表時の対応を見直し、日向灘地震に伴う臨時情報については、同社管内で被害がなければ、「できるかぎり移動機会を提供する社会的使命を果たす」ため、東海道新幹線などを通常通り運行する方針を決めた。「被災状況によっては運行規制を行う場合もある」としている。日向灘以東で地震が起きた場合は、運行規制を検討するという。