国の文化審議会は18日、和歌山県田辺市稲成町にある高山寺の本堂を新たに国の登録有形文化財(建造物)にするよう文部科学大臣に答申した。県内の新規登録答申は計8件で、登録されると県内の登録文化財(建造物)は395件になる。
 高山寺の本堂は1968(昭和43)年に建設された。鉄筋コンクリート造り平屋瓦ぶきで、地下がある。
 戦前期の文部省で文化財建造物修理を指導した技術者で、その後、建築家や建築史家として活動した大岡實(1900〜87)が設計した。大岡は古代建築に造詣が深く、近代建築でありながら、軒先を反らして軽快に見せるなど、各所に古代建築のモチーフが取り入れられている。
 地下には合気道の祖である植芝盛平ゆかりの道場が造られているのも特徴的という。
 高山寺本堂以外の登録答申は次の通り。所在地は全て高野町高野山。
 西南院=本堂(木造平屋、1901年ごろ建設、昭和中期改修)、経蔵(土蔵造り2階建て、1803年建設、昭和後期改修)、山門(木造、1970年ごろ建設)
 蓮華定院=本堂および護摩堂(土蔵造り一部木造平屋、1860年建設、1973年増築)、客殿および庫裏(木造平屋、江戸末期建設、1975年ごろ増築)、山門(木造、1860年建設)、塀(木造、江戸末期建設)

 登録有形文化財(建造物)は原則、建設後50年を経過した建造物のうち、一定の評価を得たものが対象。全国で1万4千件を超える建造物が登録されている。答申後、所定の手続きを経て正式に文化財になる。