(27日、第107回全国高校野球選手権石川大会決勝 小松大谷8―7金沢=延長十回タイブレーク)

 2点を追う小松大谷は九回表、犠飛で1点をかえした。続く2死二塁で5番・胡摩結月選手(3年)が打席に入った。「(あと1死で試合終了などとは)何も考えないように」と、スライダーを力強く捉えた。打球は中堅手が大きく伸ばしたグラブの上を越え、三塁に滑り込み、大きくほえた。

 昨年、2年生ながら夏の甲子園で全3試合に5番打者で出場した。「甲子園の方が緊張した」と話し、この日は初回に先制の中前適時打、八回にも1点をかえす左中間への適時二塁打を放ち、自らのバットでチームに優勝をたぐり寄せた。

 胡摩選手が今大会でつけた背番号は20。昨秋から今春にかけ調子を落とし、春の県大会後から夏の石川大会が始まる1カ月ほど前までは、主力メンバーから外れて練習していた。迎えた大会のメンバー発表で、19番でも呼ばれず「終わったなと、諦めていた」。しかし、20番目に自分の名前が呼ばれた。「試合に出たら活躍しなければ」。西野貴裕監督は試合前の取材に、胡摩選手の背番号に「甲子園で1桁(の背番号を)とりにこいよという期待を込めた」と話した。今大会の全5試合で5番打者を任せ、胡摩選手は期待に応えた。

 昨夏の甲子園では、強豪の大阪桐蔭を破り3回戦まで進んだが、自身は安打や打点がなかった。経験を積み、「昨年ほど緊張しないはず。結果を残したい」と意気込んだ。(砂山風磨)