大阪府富田林市の団地で2022年6月、当時2歳の女児が自宅に放置され熱中症で死亡した事件から、まもなく3年を迎える。市は27日、吉村善美市長や部長、保育関係者ら約70人が参加して研修会を開いた。

 出席者全員で冒頭に黙禱(もくとう)し、吉村市長が「行政機関の関わりがあったにもかかわらず、かけがえのない幼い命が失われたことを今も重く受け止めている。常に子どもや家庭の声に耳を傾け寄り添ってほしい」と訓示した。

 続いて同志社大心理学部の八木安理子客員教授が「児童虐待の背景の理解からみえる支援」の題で講演した。虐待する保護者自身が子ども時代に虐待を受けていたり様々な要因で孤立していたりしてSOSをうまく出せないなど、虐待の背景にあることを知るのが重要だと指摘。こども家庭センターや学校、保健所などがネットワークをつくってそれぞれが得意な支援を届け、気になったことは情報共有するといった、支援の際に大切なことについて解説した。

 市は事件後、虐待防止や子育ての悩み相談にあたる地区担当員らを7人から13人に増やし、市内4カ所に子育てを相談できる場所を設けるなどしている。吉村市長は取材に「態勢の充実、人材の確保、ネットワークの3本柱に力を入れ、困って時に助けてくれる孤立しないまちに向け、職員と頑張りたい」と話した。(前田智)