三重県名張市議会の6月定例会は27日、低所得・子育て世帯などを支援する物価高騰対策など総額1億4178万円の一般会計補正予算案や、名張市立病院の地方独立行政法人化に伴う関連条例案など計14議案を可決し、閉会した。一般の人が自家用車で有償で旅客を運ぶ「公共ライドシェア」の実証運行を薦原(こもはら)地域で実施する委託費も補正予算に盛り込んだ。
16〜18日の一般質問では、中学校向け給食センターの整備先送りについて、厳しい質問や指摘が相次いだ。
県内自治体では名張市だけが中学校給食を未実施で、給食実施は北川裕之市長の選挙公約だった。
同市青蓮寺の市有地にPFI事業で建設・運営し、2027年9月からの運営をめざしていた。しかし、中期財政計画の見直しに伴い、整備の先送り方針を5月27日に公表した北川市長は「市立病院の収支改善に向けた取り組みが急務」「累積赤字の圧縮はできたが、財政危機のリスクのボーダーラインにいまもある」とし、「(事業着手は)病院の財政健全化の見通しが立った段階で判断する」と説明していた。
一般質問で、北川市長は「断腸の思いでは言い表せない」「決してあきらめているわけではない。必ずやり遂げるという強い思い」と強調。センター方式以外の検討を求める議員の提案に対し、小学校の給食室の改修や一部中学校での自校方式、伊賀市からの一部供給、民間業者に委託するデリバリー方式などの検討・議論を重ねてきたとした上で、「費用や期間や総合的判断の中で、これでいけるというところにたどり着けなかった」と述べた。
ある議員は「やめるに等しい延期だ」、別の議員は「市立病院と給食の問題は別問題。暴論だ」と批判。「給食は教育であり、教育は守らないといけない。実施するにはどうすればいいのか、議会や市民と議論を深めて欲しい」と求めた。(小西孝司)