特殊詐欺の被害が増えるなか、中京署は、介護事業を手がける「洛和会ヘルスケアシステム」(京都市山科区)との協力を始めた。高齢者らの自宅で介護にあたるホームヘルパーにお願いし、特殊詐欺のきっかけとなる固定電話の国際電話の利用休止などを高齢者らに呼びかけてもらう。
府警によると、1〜5月の府内の特殊詐欺の被害は約5億6千万円で、前年同期より約2億9千万円増えた。署は5月から管内の全戸訪問を始め、国際電話の利用休止などを呼びかけている。
特殊詐欺の被害者のうち約7割は高齢者だ。そこで署は、2016年に府警から特殊詐欺被害抑止モデル事業所に指定された洛和会ヘルスケアシステムに協力をお願いした。
25日には中京区の90代の男性宅で、ヘルパーが啓発用のチラシを渡し、「警察官をかたって電話がきて、お金をとられることもありますよ」と呼びかけた。今後、洛和会ヘルスケアシステムでは約350人の高齢者に声をかけるという。
矢野裕典理事長は「ヘルパーは利用者と日々、コミュニケーションを取る中で信頼関係がある。一人ひとりに寄り添った形で呼びかけたい」。入沢正二署長は「ヘルパーの方に協力してもらい、一人でも多くの人に周知していきたい」と話す。(石山綾香)