仙台国税局が1日に発表した今年1月1日時点の県内の路線価は、標準宅地の評価基準額が前年より平均で1・2%上昇した。上昇は4年連続。主要都市での駅周辺での再開発事業などが牽引(けんいん)している一方、郡部や人口減少が進む地域では下落が続き、格差が広がっている。

 路線価は、主要な道路に面した土地1平方メートル当たりの評価額のこと。相続税や贈与税の算定基準となる。

 県内に10ある税務署管内の最高路線価のうち、上昇したのは、郡山、いわき、須賀川の3地点。福島、白河、相馬、二本松の4地点は横ばいで、会津若松と喜多方、田島の3地点は下落した。

 郡山といわきは3年連続の上昇。特にいわき市のいわき駅前大通りは前年比6・9%と県内トップの変動率で、駅周辺で進む再開発によって利便性が向上していることが背景にある。

 県内で最も高かったのは郡山市駅前1丁目の郡山駅前通りの33万円。東北6県をカバーする仙台国税局管内では、仙台市青葉区中央1丁目の青葉通りの370万円が最高価格だった。

 福島市栄町の福島駅前通りは20万円で2年連続で横ばいだった。県庁所在都市の最高価格でみると、昨年に続いて39位。東北では仙台(11位)、盛岡(36位)、福島、山形(41位)、青森(42位)、秋田(43位)の順だった。

 一方、会津若松管内で最高路線価だった会津若松市の「神明通り」は5年連続の下落となった。商店街の空き店舗が増加するなどして収益力が落ちていることが影響している。

 原発事故による「帰還困難区域」に設定されていた区域内の土地は「路線価を定めることは困難」として、今回も評価額が示されなかった。(東郷隆)