銀行のお金を盗んだ者は、私財で弁償した上で自刃(自害)する――。明治時代の高知の銀行員が、そのように誓った血判状が高知県立高知城歴史博物館(高知市)の企画展で初めて一般公開されている。
江戸時代から明治期のお金について700点以上の資料から紹介する企画展「お金がないから藩札・私札〜土佐と四国の地域通貨〜」の一環。
「血判誓約書」(横約150センチ、縦約35センチ)は四国銀行(本店・高知市)の所蔵品で、1886(明治19)年3月22日に作成された。四国銀行の前身である「第三十七国立銀行」の頭取や役員、従業員計23人の署名の下に、赤黒い血判が今も残る。
誓約書は「銀行は貨幣運用の重要な職務を担い、他人の財産を管理する責任を負う」「最も世の中の人の信用を失わないように勉(つと)めなければならないはずが、管理するお金を盗む・株主に損害を与える銀行員がいる」などとして、「これらを考慮して、銀行のお金を盗んだ者は、私財で弁償した上で自刃(自害)する」という内容が書かれている。
四国銀行はホームページでこの誓約書を「銀行員、社会人としての倫理観、責任感の重さを伝えるもの」などと紹介。全国の金融機関で不祥事が相次ぐ中、SNS上で話題になっていた。今回は同館が展示を打診し、了解を得た。
同館の学芸員は「明治時代に高知の銀行員が、強い覚悟や責任感を持ちながら、仕事に臨んできた歴史を知ってほしい」と話している。
企画展は8月31日まで。入館料は一般800円、高校生以下無料。問い合わせは同館(088・871・1600)。(森直由)