スーパーGT第7戦富士スピードウェイでの決勝レース、19周目にセーフティカーが入りコース上の全車のギャップがリセットされたことで、そこからチェッカーまでほぼ全域でバトルが繰り広げられる見どころの多いレース展開となった。そして、もっとも会場を湧かせたのは30周目、その時点でトップの岩佐歩夢(TEAM MUGEN)、2番手坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、3番手太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)の3台による直接バトルと、OT(オーバーテイクシステム)を使った心理戦だった。

 5番手からスタートした岩佐は上位陣ではもっとも速いタイミングでピットインして、アンダーカットを狙い、幸運にもセーフティカーが入ったことでトップに立った。だが、2番手の坪井と3番手の太田はピットインを遅らせた分、岩佐より11周タイヤがフレッシュな状況で岩佐にとっては厳しい状況だった。

「やっぱりタイヤのデルタ(11周差)ができた状態で、真後ろにライバルが来たら絶対に抜かれてしまうだろうと最初は感じました。ただ、自分のペースはあんまり悪くないとフィーリングもありました」(岩佐)。

 そして25周目にレースはリスタートとなるが、11周フレッシュな状況の坪井のペースがなかなか上がらなかった。

「やっぱり、セーフティカーが入ると(ペースが遅いので)どんどんタイヤの温度が下がってしまうので、11周分のアドバンテージではなくて、5周分ぐらいビハインドになっちゃうぐらい温度はやっぱり大事で、その温度が下げられるような状況になったので、やっぱりOTを使わないと(前の岩佐を)抜くのは厳しいかなと思っていました」(坪井)。