行方不明だった富山県南砺市の80代男性を保護したとして、金沢市池田町の飲食業小村道子さんが24日、南砺署から感謝状を贈られた。男性は県をまたぐ医王山の金沢市側の山道で発見され、さまよっていた2日間、食事も取っていない状況だったという。

 署などによると、小村さんは5日午後2時ごろ、医王山の山道を車で通行中、道路脇に座り込む男性を発見。声をかけると「家まで送ってほしい」と助けを求められた。車に乗せて男性宅に向かう途中、警察や消防の車両を見かけ、捜索していると察し、警察に通報して署まで送った。

 男性は3日午後4時ごろ、「出かけてくる」と家族に言って、電動車いすに乗って自宅を出たが、夜になっても帰宅しなかった。家族が同日午後9時に「散歩に出たまま家に戻ってこない」と署に捜索願を届け出た。

 男性は自宅から約10キロ離れた山中で発見され、電動車いすとサンダルを途中で置き、靴下のまま数キロ歩いていた。小村さんは「大変なことになっていると知らずに声をかけた。無事で良かった」と振り返った。

 小村さんは夫の則幸さんと金沢市内で飲食店「お食事まさみ」を経営。どんな人にも気さくに声をかける性分だという。過去に医王山の国見ヒュッテで働いていた経験があり、山道をよく知っていた。

 男性はクマに襲われたり、熱中症になったりする恐れもあった。藤井敏雅署長は「発見されなかったら命の危険もあった。よく声をかけていただいた」と感謝した。(武田寛史)