歌舞伎俳優の市川團十郎(47)や松本幸四郎(52)らが出演する「七月大歌舞伎」が5日、東京・東銀座の歌舞伎座で開幕した。昼の部では新歌舞伎十八番のうち4つの演目を一挙上演という初の試み。夜の部では初上演の「鬼平犯科帳」で幸四郎の長男・市川染五郎(20)と團十郎の長女・市川ぼたん(13)のフレッシュコンビによる熱演も観客を魅了した。
鬼平こと長谷川平蔵が活躍する「鬼平犯科帳」は幸四郎の祖父・初代松本白鸚や叔父・二代目中村吉右衛門の代表作。筋書きで「永久に不滅の人間ドラマ」と語った幸四郎は、原作者の池波正太郎さん生誕100年を記念して制作したドラマ版・映画版に続く鬼平役。序幕から團十郎演じる新キャラクターの悪役・普賢の獅子蔵と立ち回りを繰り広げて劇場を沸かせた。
今回上演する「血闘」は、染五郎演じる放蕩無頼の若き鬼平・長谷川銕三郎が登場する人気作。ぼたんは銕三郎が”本物の鬼”へと成長する鍵となる人物・おまさの少女時代を演じる。物語前半を彩る2人のシーンでは荒々しく力強い染五郎の声と、アナウンサーだった母・小林麻央さん譲りの伸びやかなぼたんの声が歌舞伎の殿堂いっぱいに響き渡り、次世代の台頭を印象づけた。
序幕終盤では松本白鸚(82)、幸四郎、染五郎の親子孫がそろい踏み。昼の部では成田屋の芸である新歌舞伎十八番のうち「大森彦七」「船弁慶」「高時」「紅葉狩」を上演。「紅葉狩」では團十郎とぼたん、長男の市川新之助(12)の親子共演で魅せる。公演は26日まで。