歌舞伎俳優の松本幸四郎(52)が6日、東京・銀座松竹スクエアで、”鬼平”こと長谷川平蔵の衣装で築地署の一日署長のイベントに登場した。

 匿名・流動型犯罪グループ、通称「トクリュウ」対策を呼びかけるイベントで、鬼平スタイルの松本が登場すると集まった観客から大歓声。松本は「かつての火付盗賊改方のようにトクリュウに立ち向かっていかねば」と、”署長”として決意表明した。

 前日の5日に「七月大歌舞伎」の初日を迎え、自身が構成・演出した夜の部「鬼平犯科帳」に主演している。鬼平の衣装で歌舞伎座の外に出るのは「初めて」。今回の鬼平は「叔父(中村吉右衛門さん)の鬼平を皆さまに思い出していただくのもひとつのテーマ」と語った。

 松本は鬼平の魅力について「悪を取り締まるという使命はあるが、白黒だけでは決め付けられない人間ドラマを描いている」と語り、長谷川平蔵は「人と会うことでその人を知る。知らない段階で決め付けたりしない」美学があると指摘。そして今のトクリュウなどの犯罪は「相手が見えない世界で動いている。それが怖い」と、鬼平と今の時代との対比を語っていた。