「高校野球京都大会・準決勝、鳥羽8−7京都外大西」(25日、わかさスタジアム京都)

 京都大会は前身の京都二中時代に1915年の第1回選手権大会を制した鳥羽が、逆転サヨナラ勝ちで決勝進出を決めた。九回2死から横谷乙樹内野手(3年生)がサヨナラ満塁本塁打を放った。埼玉大会は初の甲子園出場を目指す昌平が、今春センバツ4強の浦和実を九回サヨナラ勝ちで下し、2年連続3度目の決勝に進んだ。福島は聖光学院、島根は開星が代表に決定した。

 絶体絶命からのミラクルアーチ。まるで漫画のようなフィナーレだ。九回2死から飛び出したサヨナラ満塁弾に鳥羽ベンチが歓喜に沸き立つ。「最高でした!」。打った瞬間に確信したという自らの一発に横谷が胸を張る。夏の甲子園初代王者だった同校を決勝へ導く値千金の一打だった。

 劇的だった。4点ビハインドの九回。1点を返し、なおも続いた2死満塁の絶好機で横谷が打席へ。「自分が決める」。フルカウントからの内角直球を一閃(いっせん)。フルスイングで捉えた打球は右翼フェンスを越えた。ダイヤモンドを回ると感涙を流して出迎えてくれたチームメートに、もみくちゃにされた。

 苦しい時期を乗り越えて臨む今大会。「(昨年)冬にけがをしてチームを離れてしまった」。元々、抱えていた腰痛が悪化。それからは体幹強化を目的としたトレーニングに着手した。するとフォームが安定。打撃に好影響をもたらし、この日の満塁弾につなげた。

 歴史は色あせない。前身・京都二中は1915年の第1回大会で全国制覇。対して27日の決勝戦の相手は前年日本一の京都国際だ。鳥羽にとって目指すは2015年以来、10年ぶりの夏の甲子園となる。

 今度は“祝砲”を披露する。決勝戦当日は松下浩司監督の43歳の誕生日。「いい顔で迎えられるような誕生日を」と横谷。景気の良い一発で聖地への切符を頂く。