(写真はイメージ/gettyimages)

 独身は現代社会では「不利」な立ち位置で、仕事や生活でも損ばかりしている――。ひそやかにそう感じている人は少なくないようだ。単身者の「いま」を取材した(全6回のうち5回目)。

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■独身はやっぱり損をしている

「こんなことを表立って言うと絶対叩かれるから、実名ではとても言えないけれど」との条件付きで、職場で感じるモヤモヤを語ってくれた2人の独身女性がいる。

「復帰を前提としながら、産休・育休をとれるだけとって、結局は復帰せずに退職する人の罰則も必要じゃないかなと思います。休業中の厚生年金保険料も全て免除されるわけですし。権利をフル行使するなら、せめて復帰して1年ぐらいは働いてほしいと思うのは間違っているでしょうか」

 単身者をめぐる取材をしていて、時代の空気的なキーワードだと感じたのが、“不公平感”と“蔑(ないがし)ろにされている感”だ。

 例えば職場の待遇で、例えば税金の使い道で、「独身者は損をしている」という感覚になるのも、頷ける気がする。口には出さないだけで、実はこうした感覚を胸に秘めている人は、彼女たちのほかにも少なくないのではないか。

■社会が振り向く気配はない

 1人目の女性があげたのが、「子育て制度を使う権利をフル行使するなら、一定の基準を設けるべきでは」という声。女性の職場では最近、3年連続で産休・育休をとって、時短勤務で復帰後、1カ月弱で別の会社に転職した人がいた。会社も復帰前提で考えていたため、すぐには人員補充が難しく、結局は女性が新たな仕事に加えて、辞めた人の業務の補填をせざるを得なかったという。

 もう1人の女性があげたのは、今年4月から新設された「育児時短就業給付金」制度だ。育児に伴う時短勤務によって給料が下がっても、育児時短就業給付金を受給すれば、手取りの減少をカバーできるというもので、育児休業明けで時短勤務を始めようと考えている人にとっては朗報になる。

「正直、また“そっち側”が手厚くなるのかって思いました」