米国のPGAツアーにおいて、11年連続使用率No.1に輝いているのがタイトリストのアイアンです。現在、契約プロの多くが最新「Tシリーズ」のアイアンを実戦投入に向けテストしています。今回は、新しくオープンしたばかりの「タイトリスト フィッティングセンター(ザ・カントリークラブジャパン)」を訪れ、テストを行った岩崎亜久竜(いわさき・あぐり)と大西魁斗(おおにし・かいと)に新モデルアイアンの印象を聞きました。
複合構造のツアーモデルアイアン4機種がリニューアル
国内外の男子プロを中心に高い使用率を誇るのがタイトリストのアイアンです。米国のPGAツアーでは11年連続で使用率No.1を獲得しており、スコアにこだわるプロから高い支持を得ていることがわかります。

そんなタイトリストのアイアンでメインとなるのが「Tシリーズ」です。ヘッド内部に高比重タングステンなど異素材を内蔵した複合構造を採用したことが特徴のシリーズで、ツアープロの要望を満たすシャープなモデルから一般ゴルファーがやさしく飛ばせるモデルまで、さまざまなタイプのアイアンをラインアップしています。
新たな「Tシリーズ」は8月22日に発売されます。発売に先駆け、すでにツアープロを中心に新アイアンの供給がスタートしており、国内男子ツアーでは「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」(6月26日〜6月29日)からツアー支給が開始。多くのプロが新製品をテストしました。
今回は、タイトリストのサポートを受ける岩崎亜久竜と大西魁斗のテストに密着。最新モデルの印象について聞いてみました。テストの会場となったのは、千葉県木更津市にある施設「タイトリスト フィッティングセンター(ザ・カントリークラブジャパン)」です。
岩崎「『T100』は寛容性があって打感もいい」
国内ツアー2勝を挙げている岩崎は、今年のオフからクラブ契約がフリーになり、タイトリストのサポートを受けています。

岩崎は4番アイアンをやさしめのモデルにしています。これまでは中空構造の飛びを重視したアイアンを使用していましたが、今回は最新の「Tシリーズ」を一通り試し、「T100」をチョイスしたようです。
「4番アイアンは悪いライやパー5のセカンドで持つことの多い番手です。マッスルバックだとシビアに感じることが多いので、寛容性のあるモデルを選んできました。今回いろいろ試した中で、自分のイメージした高さで飛んでくれたのが『T100』でした。打感がすごくいいですし、ミスヒットへの強さもあることが気に入りました」(岩崎)
一方で岩崎は長年、マッスルバックのアイアンを使用。そのため、今回のアイアンのテストでは「620MB」も調整し、「ボールの高さ、距離、スピン量がイメージ通りの数字になりました」と好感触を得たようです。
大西「前作までのいいところを残しながら、より高さが出るようになった」
国内男子ツアー1勝を挙げ、2023年から米ツアーに挑戦している大西魁斗は、気に入ったクラブを長く使い続けるタイプです。

「新しい製品が出ると必ずテストはしています。米国で打つこともありますし、コースで試打比較することもあります。でも、試合でいい成績を出しているクラブは大事にしたいですし、本当にいいと思ったものしかバッグには入れません。もちろん、今まで使っていたもの以上だと判断すればすぐにでも使いますよ」(大西)
実際、大西のフィッティング風景を見ていると、そのクラブ選びに対する厳しさ、真剣さが見て取れました。プロ担当の小林大三氏と打ち合わせを重ねながら、構えた時の顔やインパクト時のフィーリング、計測した弾道の細かな数値をチェックして、綿密な調整を重ねていきます。
「今シーズンからPGAツアーを戦っていることもあって、米国の速いグリーンでも止まるようにアイアンでもっと高さがほしいと考えていました。その意味で新しい『Tシリーズ』は前作までのいいところを残しながら、より高さが出るようになった印象があります。今回は『T100』のロフトを1度寝かせることで自分がイメージする弾道にかなり近いところまで調整できました。
完成度としては、今、使っているクラブと同等くらいまで来ていると思います。次に日本に戻ってきた時にコースで試して、さらにテストを重ねた上で実戦投入を検討しようと思います」(大西)
新設された「タイトリスト フィッティングセンター」はプロの拠点になる
今回、岩崎と大西のテストが行われた「タイトリスト フィッティングセンター(ザ・カントリークラブジャパン)」は、千葉県木更津市にあるゴルフコース「ザ・カントリークラブジャパン」の練習場に併設される形で、7月2日にオープンしたばかりの施設です。

これまでタイトリストでは同コースの練習場を使用し、ツアープロの手厚いサポートを行う「フィッティングキャンプ」を定期的に開催してきました。しかし、真夏に実施されることもあり、テストをする際には徹底した暑さ対策が必要でした。「タイトリスト フィッティングセンター(ザ・カントリークラブジャパン)」ができたことで、屋内の涼しいスペースで休憩を取りつつ、直射日光を避けながらボールを打つことができるようになりました。クラブを調整できる工房も併設しており、いい環境でフィッティングを受けることが可能となっています。
「タイトリスト フィッティングセンター(ザ・カントリークラブジャパン)」はプロだけでなく、一般ゴルファーも利用できます。
田辺直喜