4月上旬にスイスで開催されたWatches & Wonders Geneva(W&WG)にてお披露目されたパテック・フィリップの新作をENGINE時計委員はどう見たのか。その熱いコメントをお楽しみあれ!
角型の名作「ゴンドーロ 5200」を思い出す新作カラトラバ5328 「現状維持は衰退」と書いたのは福沢諭吉。塾生だからというワケではないけれど、あらゆることに当てはまる、けだし名言である。パテック・フィリップを見て、またそれを思い出す。

時計の進化は直線的というよりは螺旋的。螺旋の同じ周に留まれば逆行する恐れがある。伝統に根差しながら革新に挑むのはたやすくないが、「カラトラバ」の最新作は格好なヒントを与えてくれる。

デザインは若い世代からも好かれるような新感覚のヴィンテージルック、手巻きムーブメントは最新技術盛り沢山の8日巻き。

熱心なパテック・フィリップ フォロワーなら、このムーブメントとダイアルを見て「そうきたか」とニンマリするはず。角型の名作「ゴンドーロ 5200」を思い出すからだ。

だが、正装で隙なくキメた「ゴンドーロ 5200」とは違い、見た目はジーンズカジュアルのように軽快で、あくまでも日常づかいの時計という位置づけだ。若い世代もこう言うだろう「いいじゃん、パテック」。 
パテック フィリップ カラトラバ 5328 長時間駆動でも数々の技術革新を達成してきたパテック・フィリップ。最新作は、8日間のパワーリザーブと瞬時送り式曜日・日付表示が備わる新開発の手巻きムーブメントを搭載。

ホワイト夜光の数字や針が映えるブラック・グラデーションのテクスチャード・ブルーダイアルや、側面にギヨシェ彫りのホブネイル模様を施したホワイトゴールドのケースも現代的進化を続ける「カラトラバ」のニュールック。

ファブリック柄のブルーとグレイン仕上げのトープカラー、2本のカーフストラップが付属。ケース直径41mm、3気圧防水。1119万円。

問い合わせ=パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター Tel.03-3255-8109

文=菅原茂

(ENGINE2025年7月号)