事実上の「政権選択」とも言われている参議院議員選挙。3つの争点に注目してシリーズでお伝えします。1回目のテーマは最大の争点となっている「物価高対策」です。

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「現金給付」と「消費減税」で与野党の主張が真っ二つに分かれていて、福井県選挙区の候補者7人を見てみると、自民党の滝波候補は給付派、野党の6人は消費減税派で、減税の対象や割合などで違いがみられます。

給付と減税で、どのようなメリット・デメリットがあるのか、調べてみました。

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■50代女性 農家

「減税はすごくしてほしい。バラまきはもうやめてほしい」

■20代男性 保育士

「減税の方が僕自身うれしい」

■30代 会社員

「減税ですね。給付したところで…。税金を下げて給料増やした方が将来的には良いと思う」

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■18歳 大学生

「減税の方が良い。今の政府って、とりあえず給付しとけば良いという考え。僕はちょっと気に入らない」

■50代女性 アルバイト

「減税は減税だけど、それも全て上澄みというか手前の策なのかなと思う」

有権者からは減税を求める声が目立つ一方、専門家の意見は分かれています。

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現金給付を主張するエコノミストは「求められているのは景気の押し上げではなく、低所得の人など物価高で打撃を受けている人へのピンポイントでの支援」と強調しています。

■野村総合研究所 木内登英氏

「(減税は)生活に余裕がある人も税金を使って支援することになる。(一律給付でなく)住民税非課税世帯に対して集中的に、一世帯当たりもっと多くの金を支援することもできるし、そういった形の給付金の方がいい」

また、減税はいったん下げると引き上げが難しく、恒久的に税収が減る可能性があるため、財政への悪影響を懸念しています。

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一方、消費減税を支持するエコノミストは「給付は貯蓄に回りがちなため、使わないと恩恵を受けられない消費減税の方が、経済の押し上げ効果が高い」と指摘し、食品にかかる分を撤廃するのが妥当だと提案しています。

■第一生命経済研究所 永濱利廣氏

「給付で金をもらっても、食料品の高い金額は変わらない。それが消費減税すれば、購入する金額自体が安くなるから、痛税感が緩和される。消費喚起の効果が大きければ、直接的に税収が減ったとしても、経済が良くなることを通じて、一部税収が戻ってくる効果も期待される。0.5%分のインフレが進めば、十分相殺できる規模」

スピード感で軍配があがったのは、現金給付です。

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■野村総合研究所 木内登英氏

「今言われていているのは年末近く。補正予算を編成しないと財源を得られないので、すぐやるわけにはいかない。そこにちょっと難点はある」

一方、消費減税は最短でも来年度からになる見込みです。

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■第一生命経済研究所 永濱利廣氏

「実はトランプ関税の悪影響が出るのって、来年度以降。実際、我々の収入が減るという意味では、来年の春闘を経て、来年度から収入減の影響が出てくる。消費減税の方が一番厳しい時に始められる」

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現金給付と消費減税、それぞれにメリット・デメリットがありますが、一番好ましいのは物価が上がっても、それに伴って賃金が上がり、経済の好循環が生まれることです。

各候補者や政党には、目先の対応だけでなく、長期的な成長戦略も訴えて欲しいと思います。

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※各候補者の詳しい主張については、以下の動画からインタビュー形式でもご覧いただけます。