■会社概要
エヌ・シー・エヌ<7057>は、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化するとともに、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するため、鉄骨造やRC造で主流だったラーメン構法を木造住宅に取り入れた同社独自の建築システムであるSE構法を、工務店を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて提供する。構造設計や材料の安定供給だけでなく、木造住宅の断熱性能の確認や保証・保険の手配に至るまで、工務店や設計事務所の抱える課題をワンストップで解決するサービスを提供する。同社グループは、同社を中心に、木構造デザイン、(株)MAKE HOUSE、翠豊によるテクノロジー分野、SE住宅ローンサービス(株)によるアセット分野、そして、(株)MUJI HOUSE、YADOKARI(株)、(株)一宮リアライズ、N&S開発(株)、(株)イデーユ二バーサルによるライフスタイル分野が融合した企業グループである。
テクノロジー分野では、合弁先企業からMAKE HOUSEの株式を取得して完全子会社化し、木造業界向けのBIM※1事業をさらに強化した。国土交通省により、2023年4月にすべての公共工事(小規模工事を除く)へのBIMの原則適用が始まったため、非住宅物件を扱う設計事務所・中小ゼネコン向けのBIMサポートを強化している。また、大断面集成材※2加工や木材の特殊加工、大規模木造建築の施工力に強みを持つ翠豊の連結子会社化により、大規模木造建築(非住宅)分野での事業領域が順調に拡大している。2023年5月にはSE構法による木造5階建対応について、(一財)日本建築センターの構造評定を取得した。同社の研究施設「木構造技術センター(Timber Structure Lab.)」を活用し、従来の仕様では困難であった木造5階建に対応する仕様を追加した。
※1 Building Information Modelingの略。コンピュータ上に建物の立体モデルを再現し、建物づくりに活用するソリューション。設計から施工、維持管理に至るまでの属性情報が追加されているため、各図面に必要な情報を活用できる。
※2 集成材:板材を接着剤で再構成して作られる木質材料。
ライフスタイル分野では、世界中の新たな暮らしの調査研究・メディア運営、小屋・可動産活用による遊休地や暫定地の企画・開発、まちづくり支援を手掛けるYADOKARIと2019年12月に資本業務提携契約を締結した。2022年4月には、サブスクリプションサービス「SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム)」を展開する(株)Sanuと共同でN&S開発を設立した。Sanuが展開する「SANU 2nd Home」にSE構法による宿泊棟を提供することで、脱炭素社会の実現に向けた木造建築の普及促進を目指す。2024年4月には、SE構法がスペックインされた新商品「SANU Apartment(海SANUに設営される宿泊棟)」が千葉県一宮町で竣工し、2024年4月から営業を開始している。
同社は日本に安心・安全な木構造を普及させ、資産価値のある住宅を提供する仕組みをつくることを目的として1996年に設立された。現 代表取締役社長の田鎖郁夫(たくさりいくお)氏が日商岩井(株)(現 双日<2768>)で商社マンとして活躍していた1995年に発生した阪神・淡路大震災では、住宅が壊滅的な被害を受けた。そこで田鎖氏が知ったことは、住宅のほとんどを占める木造住宅においては、構造計算をしていないという事実だった。「木造だから弱い」のではなく、そもそも構造設計がされていなかったのである。
この経験を下に、1996年にセブン工業<7896>と日商岩井による合弁で(株)エヌ・シー・エヌが設立された。当時、長野市オリンピック記念アリーナを手掛けていた構造家の播繁(ばんしげる)氏に協力を求め、大型建造物のノウハウを一般的な住宅に生かすSE構法を開発し、木造技術のイノベーションを図った。圧倒的な強度を持つ独自の木造建築用システムは、現在に至るまで同社の強みである。SE構法は、これまでの施工・建築経験の蓄積により、他社には追随できない知的財産となっており、OEM供給を依頼する大手ハウスメーカーも多い。なお、「New Constructor’s Network=新しい建設会社のネットワーク」が同社社名の由来で、木造住宅を巡る既存の課題(構造計算をしない慣習、資産価値が急速に下がってしまうという弱点)に対して、同社が中核となって工務店、ビルダー、ハウスメーカー等とともに立ち向かっていくことを表している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
エヌ・シー・エヌ Research Memo(2):大型化・特殊化する非住宅での事業体制強化と事業領域拡大
関連記事
あわせて読む
-
【持ち家の「所有権」は強力】使用する・収益を得る・処分するという3つの権能 他人からの妨害や侵害も排除できる
TBS CROSS DIG with Bloomberg7/27(日)22:00
-
自由貿易の旗手放棄した米国、レアアース武器に各国取り組む中国…「超大国に依存しないネットワークを」
読売新聞7/27(日)20:00
-
住宅購入の検討者、93%が「ローン完済に不安」…変動型の利用減少し固定型にシフトか
読売新聞7/27(日)9:59
-
法改正でいくら増える?iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金、気になる今後は?
Finasee(フィナシー)7/27(日)7:00
-
老後に必要な備えは“お金”ではなかった? 全国60歳以上2188人の切実な答えとは
Finasee(フィナシー)7/27(日)3:00
-
【60歳以上2188人調査】「保険」に入っている人はどのくらいか? 民間保険だけではない「備え」の実態
Finasee(フィナシー)7/27(日)3:00
-
【家計が破綻するリスクと対策】賃金低下、物価上昇…自己破産7.8万件に増加
TBS CROSS DIG with Bloomberg7/26(土)22:00
-
生成AI活用の最前線で起きていることとは?
東洋経済オンライン7/26(土)21:00
-
来週の相場で注目すべき3つのポイント:米FOMC、日銀金融政策決定会合、米雇用統計
FISCO 株・企業報7/26(土)6:59
-
国内株式市場見通し:日米金融政策会合、国内外主要企業の決算発表、国内政局など注目イベント多い
FISCO 株・企業報7/26(土)5:10
-
米国株式市場見通し:EUとの通商交渉の行方、FOMCなど注目材料多い
FISCO 株・企業報7/26(土)4:58
-
老後生活の「経済不安ランキング」 60歳以上2188人が回答した“トップ10”が明らかに
Finasee(フィナシー)7/26(土)3:00
-
なぜ在日外国人には国民年金に加入もできない時期があったのか。高かった「国籍要件」の壁
MAG2 NEWS7/26(土)1:00
-
【知っておきたい法改正】「年収の壁」と「遺族年金」 中高年女性への影響大 扶養の仕組みを見直すべき
TBS CROSS DIG with Bloomberg7/25(金)22:00
-
日本株を売る「絶好のタイミング」がやってきた
東洋経済オンライン7/25(金)21:30
-
親が認知症になったら銀行口座が「凍結」される?認知機能の低下でできなくなる法律行為と今すぐやっておきたい対策
FNNプライムオンライン7/25(金)21:00
-
「賃貸vs持ち家」問題、マンション高騰時代の答え
東洋経済オンライン7/25(金)21:00
-
1週間のM&A速報まとめ(2025年7月21日〜2025年7月25日)
M&A Online7/25(金)15:00
経済 新着ニュース
-
米EU首脳、関税15%合意 車も、「相互」30%は回避
共同通信7/28(月)7:26
-
トルコ格付け「Ba3」に引き上げ、金融政策の信頼性向上=ムーディーズ
ロイター7/28(月)7:25
-
米テスラ、xAIへの投資計画巡り複数の株主提案受領
ロイター7/28(月)7:22
-
為替相場 28日(日本時間 7時)
共同通信7/28(月)7:00
-
「ゴールド・ファンド」が八十二銀行で急上昇、「NASDAQ100」は急落の落ち込みを埋めて再浮上なるか!?
Finasee(フィナシー)7/28(月)7:00
-
年収が高い銀行ランキング2024【トップ5】3メガバンクで順位が逆転!
ダイヤモンド・オンライン7/28(月)7:00
-
【持ち家の「所有権」は強力】使用する・収益を得る・処分するという3つの権能 他人からの妨害や侵害も排除できる
TBS CROSS DIG with Bloomberg7/28(月)7:00
-
「ジャポニカ学習帳」の表紙、写真からイラストに変更へ 発売55年で大幅に刷新、理由を聞きました
withnews7/28(月)7:00
-
今日の注目スケジュール:国債買い入れオペ、印鉱工業生産、ブ融資残高など
FISCO 株・企業報7/28(月)6:30
-
日本を代表するスポーツカンパニーへの飛躍を目指す「スポーツフィールド」その道筋は
M&A Online7/28(月)6:30
総合 アクセスランキング
ランキングの続きを見る記事検索
掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
(C) 2025 FISCO Ltd.