福島県須賀川市横田の護真寺から盗まれた県指定重要文化財の本尊「木造宝[ほう]冠[かん]釈迦[しゃか]如来坐像」が寺に戻り、13日に住民らに公開された。
毎年夏に催しているご開帳に合わせて公開し、横田地区の住民ら約30人が参拝した。護真寺の住職を兼ねる高安寺(郡山市安積町)の三ツ本光照住職がお経を読み上げた。参拝者らは戻った本尊の姿に安堵[あんど]の表情を浮かべ、焼香を上げて手を合わせた。
関係者によると、仏像は今年3月ごろに盗難被害が判明。仏像などを狙う窃盗事件を県警が捜査する過程で被害品から見つかったという。装飾の「光[こう]背[はい]」や像を安置する仏具「厨[ず]子[し]」に以前はなかった損傷が見られる。連絡を受けた県文化財保護指導委員の大岡清一さんらが涅[ね]槃[はん]図[ず]や地蔵尊などと合わせた5点を引き取った。
参拝者が大岡さんからそれぞれの品の由来などを聞き、地域に残る文化財の価値を再認識していた。護真寺の代表総代を務める岡松幸雄さん(73)は「本尊は心のよりどころだったのでとても安心している」と話した。