夏休み初日の19日、福島県内は全域で猛暑日や真夏日となり、涼を感じられる観光地や屋内施設がにぎわいを集めた。今年の夏は前年同様に高温になる可能性が高い。長引く物価高騰で、県民らからは「近場で涼しく楽しみたい」との声があり、受け入れる観光地側も暑さを和らげるおもてなしに気を配る。
「冷たくて、気持ちいい」。きらめく、せせらぎの中をはだしの子どもが元気に駆け回った。いわき市のアクアマリンふくしま内に今月オープンした屋外施設「わくわく・はじまりの森」には、親子連れの歓声が響き渡った。新施設を目当てに子どもと来館した福島市の会社員、立川篤史さん(48)は「遠出をするというよりは、近場で旅行を楽しむ予定。暑さも続いているので涼を求めて海にも行きたい」と笑顔で語った。
いわき市の薄磯、勿来、四倉、久之浜・波立の4海水浴場と南相馬市の北泉海水浴場が19日、一斉に海開きした。須賀川市の教員、近藤悠太さん(33)は一家4人で薄磯海水浴場を訪れた。物価高や燃料高も気がかりだが「娘に夏らしい楽しい思い出をたくさんつくってあげたい」と休日を満喫していた。
屋外を避けた山中のひんやりスポットも人気を集める。田村市滝根町の国天然記念物「入水鍾乳洞」の内部は14度程度に保たれており、すぐに汗が引く。郡山市の会社員鈴木真佐人さん(38)は「初めて来たが、外に出たくないぐらい涼しい」と喜んだ。
夏休み初日とあって、涼しい映画館にも若者らが足を運んだ。18日に人気アニメ「鬼滅の刃」の劇場版新作が公開されたばかり。柳沼ここのさん(15)=帝京安積高1年=は友人とともに福島市のフォーラム福島を訪れた。「外は暑かったので、館内で快適に過ごせて良かった」とほほ笑んだ。