「高騰する燃料代を節約したい」という動機から、電気自動車(EV)購入を検討している人は多いだろう。だがEVにも、電気という”燃料”が必要になる。では、EV導入によって、電気代はどれくらい上がるのだろうか。

EV充電器メーカー大手のパナソニックが行った調査では、実際にEVを導入し、主に一戸建ての自宅で充電を行っているというユーザーの約35%が「電気代が1.3倍以上に増加した」と回答した。EVの走行距離次第でかかる電気代も変動するが、EVの導入によって電気代が1.1倍以上になった家庭の割合は、約81%にのぼる。

実は、この電気代を節約する方法がある。それが、電気料金プランの変更だ。2016年からの電力自由化によって様々な企業が電力事業に参入し、多彩な電気料金プランが展開されている。そのなかには、EVユーザーが恩恵を受けられるプランも含まれているのだ。

パナソニックが行った別の調査によれば、適切な電気料金プランに変更したEVユーザーの40%以上は、年間4万円台の大幅な節約を実現している。これだけの効果があるのなら、EVの導入と同時に電気料金プランを見直すことはもはや必須といえる。だが、その見直しを行っているユーザーは少ないのが実情のようだ。本稿では、EVの導入時における電気料金見直しのメリットと、それをサポートする新たなアプリについてレポートする。

多くのEVユーザーが、知らないうちに高い電気代を払い続けている

冒頭に書いたパナソニックによる調査を、もう少し詳しく見てみよう。調査が行われたのは2023年11月。その対象は、20〜60代の持家戸建住宅に住み、EV/PHEV(※)を所有する200名だ。自宅での充電を前提とした、いわば「標準的なEVユーザー」の実態調査といえる。