◆第107回全国高校野球選手権富山大会 ▽決勝 未来富山13−7高岡商(26日・富山市民)

 創部8年目。初めての甲子園切符をつかんだ未来富山ナインがマウンドに集まり喜びを爆発させた。序盤3回までに7点を奪い、その後も追加点を重ね、高岡商の反撃をしのいだ。

 中心はU18日本代表候補で最速145キロ左腕・江藤だ。24日の準決勝、富山第一戦で完投。疲労も残っていたが、直球を武器に真っ向勝負。「しんどさもあったが、要所でギアを上げた。フルカウントになったら、自信のあるストレートで三振が取れました」。DeNA、阪神など複数球団のスカウトが視察する中、7失点も、155球を一人で投げ抜いた。打っても6回に右中間上段へ特大本塁打を打ち込むなど3安打だ。

 未来富山は2018年に開校した通信制の私立高校で、全校生徒24人中、23人がアスリートコースで学ぶ野球部員。県外から入学した22人を含め全選手が寮生活を送る。午前中は魚津市内の学習センターで勉強に取り組み、午後からは同じ敷地内にあるグラウンドで練習に励んできた。

 表彰式が終わると、選手全員で角鴻太郎監督(34)を胴上げした。角監督は元ヤクルト内野手の角富士夫氏(69)の長男で、日大三高では小倉全由監督の下、甲子園に出場。23年9月に監督に就任し、恩師から受け継いだ「10―0で打ち勝つ野球」を目指してきた。

 就任後しばらくは打てずに負けることも多かったが、現チームでは打撃を徹底強化。ノーシードから臨んだ今大会は1回戦から準々決勝までコールド勝ち。6試合で63得点と猛打が爆発した。県勢の夏最高はベスト8。「理想に近いチームになった。甲子園では富山の歴史を変えたい」と指揮官。投打に充実の通信制高校が、富山の未来を変える。(中田 康博)