米最高裁(2019年10月8日)
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米連邦最高裁判所は6月27日、LGBTQ+をテーマにした本を使う小学校の授業に自分の子どもを参加させないよう求めていた親の訴えを認める判決を言い渡した。
この裁判では、カトリックやイスラム教徒などの親が、メリーランド州モンゴメリー郡の公立学校教育委員会を訴えていた。
親たちは、同教育委員会が「宗教的な理由がある場合、生徒はLGBTQ+のキャラクターが登場する本を使った授業に出席しなくてもよい」という方針を撤回したことは、宗教的な教育をする自由を侵害していると主張していた。
判決は6対3で、保守派の6人の判事が原告の訴えを支持し、リベラル派の3人が反対した。
賛成したサミュエル・アリート判事は、「最高裁は、親が子どもに宗教的な教育をする権利を長年にわたり認めてきた」と多数派意見で述べた。また、「根拠が乏しい」とした親たちの主張を退けた下級審の判断は誤りだと指摘した。
一方リベラル派のソニア・ソトマイヨール判事は、「財政的に厳しい学区は、訴訟や欠席確認に費用がかかることへの懸念から、カリキュラムを検閲して、宗教的に異議が生じる可能性のある教材を排除しすることにつながりかねない」という考えを反対意見で示した。
ソトマイヨール判事は、「これまで地域で選ばれた教育委員会に任されてきたカリキュラムに、一部の親が拒否権を持つのを認めることになる」とも指摘している。

右派の訴えを認めるようになっている最高裁
最高裁は近年、「差別の禁止が信教の自由を侵害している」とする原告の訴えを支持する判決を相次いで言い渡している。2023年には、同性カップルの結婚式用ウェブサイト制作を拒んだデザイナーの訴えを支持した。