三重県は25日、全職員の氏名や所属を記した本年度分の職員録を作成したと発表した。来庁者などが理不尽な要求をする「カスタマーハラスメント」への対策を理由に、本年度分からは外部への販売を取りやめた。

 県によると、職員録は少なくとも昭和30年代から作成している。県が名簿などを編集し、県職員互助会が発行。毎年度約3千冊を作成し、互助会が1冊600円で販売してきた。

 本年度分は「ペーパーレス化の推進」を目的として、庁内の一部や県議会、報道機関に配布する100冊程度の作成にとどめた。関係機関の連絡先などを記した「付録」も削除した。

 一方、職員らには23日から、庁内システムを通じて電子データで公開しているが、ホームページなどを通じた外部への公開は「カスハラ対策の一環」で見送ることにした。

 人事課は「過去にはクレームに対応した職員が異動先の部署でもつきまとわれる事案があった。簡単に職員録が手に入ると、本来の目的外のことに利用される可能性がある」としている。

 県は昨年度、職員の名札を姓だけにするなどのカスハラ対策に着手。今後は電話機に通話録音機能を設けるほか、カスハラへの具体的な対応などを記載したマニュアルも作成する。

 県が昨年5月に実施したアンケートでは、職員の約7%に当たる270人が、令和5年度中にカスハラを受けたと回答した。内容の最多は「暴言」で221件だったという。