やなせたかしさんと、その妻・暢さんをモデルにしたNHK連続テレビ小説『あんぱん』が放送中だ。
ドラマの登場人物のモデルであるやなせ氏は、高知県香美市香北町(旧・在所村)出身。その故郷に1996年にオープンしたのが、「香美市立やなせたかし記念館 アンパンマンミュージアム」(以下、やなせたかし記念館)である。
やなせたかし記念館では、やなせ氏の作品や収集品の展示に加えて、どのような人生を送ってきたのか、その歩みなども紹介されている。施設は「アンパンマンミュージアム」と「詩とメルヘン絵本館」、そして「別館」からなる。
今でこそやなせたかし記念館とは別に全国5か所に「アンパンマンこどもミュージアム」があるが、2007年に横浜に第1号ができるまでは、やなせたかし記念館がアンパンマンをテーマにした唯一の施設だった。それもあってか、ピーク時の来場者数は年間約24万人で、多い日には5000〜6000人にも上った。当時、香北町の人口は5000人ほどだったため、それに匹敵する規模である。そのため、経済効果だけでなく戸惑いもあった。
来年で開館から30年を迎える、やなせたかし記念館。この施設は、この地に何を残してきたのだろうか。
●オープンから49日で、来場者数の目標を達成
高知市内から北東に約30キロ。香美市に入り、途中から物部川に沿って進んでいくと、やなせたかし記念館に到着する。案内板がなければ見過ごしてしまいそうなほど、主張することなく、ひっそりとたたずんでいる。