●理由(1)業績を落としている
ナイキがクールだった大きな理由は、何より業績を伸ばし続けていたからです。発売する商品が軒並み売れ、ナイキを履いていないとカッコ悪いという時代すらありました。結果的に業績も大きく伸び、スポーツブランドのトップブランドになりました。
スポーツブランドのツートップである、ナイキとアディダスの業績を比較してみましょう。
ナイキの2025年5月期の売り上げは、6兆8000億円(1ドル=147円換算)です。現在も売り上げがスポーツブランド各社の中でダントツで、2位のアディダス(2024年12月期=4兆498億円、1ユーロ=171円換算)に3兆円弱の差をつけています。その意味で、ナイキは今もトップスポーツブランドであることに間違いありません。
しかし、売り上げの伸び率がナイキは前期比で9.8%減、金額にして7500億円ほどの減少です。営業利益はさらに大きく落とし、同42.0%減、4000億円超も減少しています。大幅減収減益というのがナイキの実態なのです。
アディダスは2024年度に世界各地で売り上げを伸ばしており、卸売り、DtoC(Direct to Consumer)、小売店、ネット販売とあらゆるチャネルで2ケタ以上も伸びました。特にフットウェア部門が好調で、オリジナル、サッカー、トレーニング用各シューズが2ケタ成長しています。
アパレルでも、特徴的なスリーストライプやトレフォイルロゴの人気が高まっており、レトロ風のアイテムを発売して人気になるなど、フットウェアを中心にしながらも、ファッションブランドとしての地位も確立しています。アディダスはライフスタイル(いわゆるファッション分野)とパフォーマンス(アスリートやランナー向けのスポーツ分野)の両面をバランスよく強化したことで、大きく成長しているといえるでしょう。