「熱は下がったものの、しつこい咳が……。いつまで続くの?」 「咳止めを飲んでも効かなくて、しんどい……」

いま、長引く咳にわずらわされ、家事や仕事がままならないという人が増えている。

さらに、例年になく猛威を振るっているのが「百日咳」だ。

国立健康危機管理研究機構によると、百日咳の累計感染者数は今年に入り、確認されているだけでも2万8千553人(6月8日までの統計)に。すでに昨年の約7倍以上と、過去最多となっている。

咳を伴う呼吸器感染症が流行している背景について、国立病院機構近畿中央呼吸器センターの呼吸器内科医・倉原優先生はこう解説する。

■寒暖差が激しい日が続いたのも今年の咳が長引く原因!?

「コロナ禍で感染症対策が徹底されたため、百日咳を含めた感染症の流行は抑えられていました。しかし、この感染対策の影響で、十分な免疫を持っている人が減少し、感染症に罹患しやすい状況ができたともいえます。

そこに、今年は、寒暖差の激しい日が続いていることも、咳が長引きやすくなっている原因の一つと考えられます」

急な気温の変化が原因となり、自律神経が乱れるなどのトラブルにつながり、咳などの症状が誘発されることもあるという。

さらに百日咳は、感染力が非常に強く、百日咳菌が粘膜に付着し毒素を作り出すことで、気道の分泌物がうまく排出できなくなり、頑固な咳を引き起こしてしまう。

百日咳に限らず、「咳が止まらない」と倉原先生の外来を受診する患者さんは増えているという。