メキシコ料理の「タコス」が、数十年前から北欧・スウェーデンで定着しつつあるといいます。一体なぜなのか、理由を「株式会社フィーカハウス」(東京都中野区)に聞きました。

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 スウェーデンといえば、ミートボール料理「ショットブッラル」が有名なのは多くの人が知るところ。しかしながら、なぜ遠く離れた国の料理が浸透の兆しをみせているのでしょうか?

「スウェーデンでのタコスの広まりはここ20年ほどという印象。確かによく食べられていますが、比較的若者層での文化と言えるでしょう。『テックス・メックス』と呼ばれるアメリカンタコスがポピュラーです」(株式会社フィーカハウス:以下同社)

 実は同国にはオリジナルのテックス・メックスブランド「Santa Maria(サンタ・マリア)」があり、国民にとって“おなじみ”の存在なのだとか。チップスやタコシェル(皮)・タコスソース・タコスパイスをスーパーマーケットで揃え、好みの具とあわせ自宅で楽しむのは今や定番スタイルだといいます。このようになった大きな理由は「調理が簡単」という所にあるとのこと。

 というのもスウェーデン人は日中全力で仕事をし定時退社するという人が非常に多く、この背景には「家族と過ごす時間」「自分の時間」を重要視する国民性が存在しているそう。

「スウェーデンでは家族や友達とコーヒーを飲みながらゆっくりする時間を『フィーカ』と呼び、その習慣を制度として取り入れる企業や学校も珍しくありません。帰宅後のひと時に家族や友人との時間を多く取りたいという思いから、手軽な料理の“最適解”としてタコスが選ばれるようになったというわけです」(同社)

 最近では“金曜日はタコスを食べる”という習慣もできつつあるそうで、同社によると「金曜日は『フレーダースミィース(まったりフライデー)』とよばれ、最高の週末のスタートの日と考えられています。そこから、金曜日といえばタコスの日……と言われるようになりました」とのことでした。

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 ちなみにサンタマリア社製品は、2024年から日本でも手に入るようになったとか。気になる人はスウェーデン風にタコスで「まったりフライデー」を過ごしてみるといいかもしれません。

(取材・文=つちだ四郎)