■タンクに音響装置付け、発酵促進

 気仙沼市の酒造会社「男山本店」が、発酵中の日本酒にジャズを聴かせた「音響加振酒」を醸している。蔵の中で音楽を流すのではなく、タンクに音の振動を伝える特殊な機器を設置。酵母に刺激を与えることで、味や香りにも変化が生まれるという。「蒼(あお)の音(おと)」と名付けた酒は、8月6日から市内外の酒販店や百貨店で販売する。
 音響機器メーカー「オンキヨー」(大阪市)が独自に開発した「加振技術」を活用した。「蒼天伝 純米大吟醸」のもろみを入れたタンクの外側に「加振器」と呼ばれる音響装置を付け、6月下旬から約1カ月間発酵させている。
 企画したのは、男山本店の菅原大樹専務(33)。伝統的な酒造りにとどまらない新たな試みとして妻で地元出身のピアニスト・作曲家岡本優子さん(41)との連携を模索し、親交のある愛媛県の酒造会社の取り組みを参考にした。
 日本酒に聴かせているのは、岡本さんのオリジナル曲を中心に集めたアルバム「In Your Eyes」。岡本さんが渡米中に気仙沼を思って作った「Sweet Home」などが収録されている。
 ジャズを聴かせたタンクのもろみは通常より3日ほど速く発酵が進むなど、変化が現れているという。菅原専務は「雑味が少ない、シャープな味わいになるのではないか。音楽を楽しむ場で飲んでほしい」と新酒の完成を心待ちにする。
 特別ラベルの四合瓶「蒼天伝 純米大吟醸 音響加振酒 蒼の音」は、1000本限定で販売する。1本3300円。連絡先は男山本店0226(24)8088。
(藤井かをり)